商店建築2014年4月号 オフィス特集に掲載の「ドワンゴ 本社オフィス」(設計/シナト)


こんにちは。
毎月ご愛読ありがとうございます。
   
 

先月、東京・六本木のAXISビル3階にオープンした「IMA Concept Store(イマコンセプトストア)」の内覧会へ行ってきました。アート写真をテーマにして、ギャラリー、ブックストア、カフェという三つの機能で構成される施設です。最大の魅力は、三つの空間が融け合っていること。巨大な可動壁も見どころです。つい長い時間を過ごしたくなるような豊かな施設でした。六本木へ行かれた際には、オススメです。


六本木のAXISビル3階にオープンした「IMA Concept Store」

 
、、、すみません、また前振りが長くなりました。
本題に入りましょう。
 
日本で唯一、店舗デザインの最新事例とセオリーが学べる月刊誌「月刊 商店建築」。
最新号は、4月号です。
 
本日のテーマは、「今、オフィスの設計で重要なこと」。
オフィスのデザインに興味のある方は、15分ほどお付き合いください。


最新号の商店建築2014年4月号

まずは恒例の、最新号の“立ち読み”から。
お手元に2014年4月号はあるでしょうか。お持ちの方は、ここは飛ばして20行くらいクリクリっと下にスクロールして先へ進んでくださいね。

「商店建築 2014年4月号」は、異様なほどに盛りだくさん。
「2014年4月号」は、「レポート/海外デザインアワード最新事情」「業種特集/カジュアルレストラン」「特集/オープンキッチンの魅せ方」と、内容を詰め込みました。
その中でも今日は、「オフィス特集」に注目。
 
 
では、どんなオフィスが登場するのか。
急成長している話題の企業や、皆さんのよく知る有名企業のオフィスも登場します。
例えば、ほんの一例を挙げると、以下のような感じ。

・カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYAでお馴染みのCCCですね)
・ドワンゴ(ニコニコ動画でお馴染みですね)
・アディダス
・松竹芸能
・コクヨファニチャー
・QVC(テレビショッピングの専門チャンネルで有名な企業ですね。プロ野球が好きな方は「QVCマリンフィールド」というスタジアム名でご存知のはず)

ちょっと誌面をご覧ください。


ドワンゴ 本社オフィス(設計/シナト)


松竹芸能 本社オフィス(設計/コクヨファニチャー)


QVC スクエア(設計/日本設計+ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド)

どうでしょうか。
これだけでも、最新のオフィスデザインに関して、いろいろな発見があると思います。
そこで、更にもう一歩突っ込んで、記事をつくりました。

さて、唐突ですが、ちょっとクイズです。
オフィスを設計するにあたって、いま最も必要とされていることは何でしょうか?
 

 
それは、「社員の意識向上」です。
オフィス空間の仕掛けによって、そのオフィスで働く社員の意識をどれだけ向上させられるか。
これが、いま、設計者である皆さんに求められている能力です。

そこで、記事のテーマは、「社員の意識向上&コミュニケーションを促す オフィス空間のアイデア集」。
中身の一部をご覧ください。


オフィス特集の記事「社員の意識向上&コミュニケーションを促す オフィス空間のアイデア集」

では、どうして「社員の意識向上」に着目したのかと言いますと。。。
最近のオフィスの取材において、設計者の皆さんから「社員の意識向上」というキーワードを度々耳にしていたからです。

ここ7、8年でしょうか、オフィスの設計において重視されてきたのは以下のテーマでした。

・社外からの来客に向けたブランディング効果。
・フリーアドレス制の導入や家具レイアウトによる業務や使用面積の効率化。
・社員同士のコミュニケーションの円滑化。


これらのテーマは、依然として重要です。
しかし、これらに加えて、ここ1年くらい、「社員の意識向上」というテーマを耳にする機会が増えました。
ならば、「商店建築」編集部としては、これから読者の皆さんがオフィスの設計をする際に役立つよう、「意識向上のための空間的な仕掛け」をまとめておこう。
そう思ったわけです。
誌面のイメージとしては、ドラえもんが面白い道具を次々と出してくれるような、テンポよくアイデアが飛び出すイメージにしました。誌面に登場する道具は、「脚カンタン着脱テーブル」「ロングスパン3.6mテーブル」「円形台形分割テーブル」「一筆書き250mデスク」など。楽しそうですよね。


カルチュア・コンビニエンス・クラブ 本社オフィス(設計/ ジョイントセンター)

例えば、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」のオフィス。
実際に取材でお邪魔してみました。
アート作品が置かれたエントランスラウンジでは、ミュージアムかと思うほどのゆったりした柔らかい雰囲気に驚きました。実は、このアート展示が、社員食堂の機能を持つカフェテリアのほうにまで連続しています。このアート展示が、「社員の意識向上」につながる重要な仕掛けの一つになっています。
「世界一の企画会社」を目指すCCCにおいては、社員一人ひとりが、「私たちは、文化を生み出すリーディングカンパニーなのだ」と常に意識しながら働くことが大変重要なはずです。そんな意識改革の仕掛けが、アート展示だけでなく、いくつも見られました。
詳しくは、4月号164ページと212ページにて。


ピクシブ社のオフィス(設計/チームラボアーキテクツ 河田将吾)

更に、「ピクシブ」のオフィスにも取材でお邪魔してきました。
イラストコミュニケーションサービス「pixiv(ピクシブ)」をご存知の方も多いかと思います。このオフィスに遊びに来てしまう修学旅行生がいるというほど、全国の若い人々に大人気のサービスのようです。
http://www.pixiv.net/
実際に取材でこちらのオフィスを訪れて感じたのは、自由で自律したエンジニアが緩やかにつながって、協力し合い、お互いを高め合いながら仕事をしているようだ、ということ。通常の企業では考えられないような自由で居心地の良い雰囲気が社内に漂っており、衝撃でした。取材でお邪魔した私たちがワークスペースをウロウロしていても、なぜかまったく違和感がないのです。つまり、ピクシブという企業は、外部から訪れた他者に対して、あまりにも寛容で開かれている、不思議なプラットフォームと言えそうです。
そんな社風を醸成しているのは、もちろん経営者や社員の方々の人柄なのでしょうが、その社風をより強い個性に育てるために、このオフィスのデザインが効果的に機能しています。
詳しくは、214ページにて。


こんな感じで、5社のオフィスを実際にまわり、12個の仕掛けを集めてきました。
作り手(デザイナー)と使い手(クライアント)、両者からのコメントを載せています。


どの仕掛けも、実際に現場で見てみると、「なるほど~、こんなオフィスで働いてみたい」と感じるものばかりでした。
ただし、一つだけ、大事な注意点があります。おそらく、5社分の記事を通してお読みいただいた方は、気がついていると思います。
そうです、ここで紹介した仕掛けはすべて、その企業のビジョンや社風と密接に結び付いているんです。ということは、これをそのまま別のオフィスに導入しても、おそらく上手くいきません。
まず、設計以前の段階で、クライアントがどんな社風で、どんな企業になることを目指しているのか。それをしっかり聞き出し、リサーチしてからでないと、有効な仕掛けはつくれません。
 
そのリサーチやヒアリングのコツは、前回のオフィス特集「2013年3月号 187ページ」で解説しました。記事のタイトルは、「オフィスデザインの成否を決める! リサーチ&提案術」。
これ↓です。


前回のオフィス特集「2013年3月号 187ページ」では「オフィスデザインの成否を決める! リサーチ&提案術」を載せました

「13年3月号」の記事は、オフィスの設計における「上流工程」のポイントを扱っています。
一方、今回の「2014年4月号」の記事は、オフィスでの具体的な仕掛けのつくり方。つまり、オフィスの設計における「下流工程」です。
ということは、「商店建築13年3月号」と「商店建築2014年4月号」の両方を通読していただければ、上流工程でも下流工程でも、ライバルに負けない。
つまり、オフィスの設計では、連戦連勝。
となるはずです。


商店建築2014年4月号の「社員の意識向上&コミュニケーションを促す オフィス空間のアイデア集」

では、最後にもう一度、おさらいとして、まとめましょう。
もし、あなたに、オフィスの設計依頼が来たら・・・。
以下四つのテーマに対して、あなたはクライアントにどんな価値を提供できますか。
その観点でオフィスの設計やプロポーザルに取り組んでみてください。

・社外からの来客に向けたブランディング効果。
・業務や使用面積の効率化。
・社員同士のコミュニケーションの円滑化。
・社員の意識向上(!)。



というわけで、編集部では、皆さんが設計したオフィスの竣工事例も楽しみにお待ちしております。
本日も最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。〈塩田〉
 
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月刊商店建築4月号
2014年3月27日発売
2,098円(税込)

新作/ザ・リッツ・カールトン京都、新宿グランベルホテル
レポート/海外デザインアワード最新事情
特集/オープンキッチンの魅せ方 
業種特集1/カジュアルレストラン
業種特集2/オフィス



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