「+Graphysm展」。内海聖史さんの作品と、その展開例(画像提供/Azone+Associates)


こんにちは。
暑いですね。
お店の視察で街を歩き回っているだけで日焼けしています。。。
 
 
さて、みなさん、突然ですが、「挑戦」してますか?
  
 

このシーズンって、クーラーの効いた涼しい部屋で夏の高校野球を観戦したりしながら、「ところで、自分は最近、挑戦や努力をしているだろうか・・・」なんて、自分の生活を振り返ってしまったりしませんか?
 
というわけで、今日は、「挑戦」ということについて、ちょっと書いてみますね。
    
 

「月刊 商店建築」2018年8月号って、お手元にありますか。
最新号です。
32ページを開いていただけますか。
そこに、黒いシートが、はさまっていますよね。
それ、スリーエムジャパン株式会社の新製品なんです。
「ダイノックフィルム」と言えば、インテリアデザイン業界で知らない人はいないシート建材ですね。その新ラインアップ「マットシリーズ」のサンプルが、本誌に挟み込んであるのです。
 
こんなこと、初めてやりました。
スリーエムジャパンから要望をいただき、弊社の広告部が調整しつつ実現しました。
これ、確かに、ナイスアイデアですよね。全国の数万人の人たちに、一斉にサンプルを届けることができるのですから。
小さなことかもしれませんが、今までやっていなかったことを、何か一つやってみる。それって、「挑戦」ですよね。
 
 
ちなみに、このサンプル広告では、現行製品と新製品のサンプルが並べて貼られています。たしかに、比べてみると、新製品のほうは、フィルムに指紋がつかない。これは、機能的ですね。

  
 
というわけで、ここまでは、前置きでした。
「挑戦していく」という話をしたかったため、小さな挑戦にまつわるエピソードをお届けしました。
  
  


「+Graphysm展」会場風景。左手の彫刻が袴田京太朗さんの作品、右手の絵画が宮嶋葉一さんの作品(画像提供/Azone+Associates)

 
 
じゃ、今日の本題は何かと言うと、「アートを使ってブランディングする方法」です。
 
先日、「+Graphysm展」という展示会に行ってきました。
https://mailchi.mp/dd98479f6f03/void-invitation-101171?e=f32caf7502
 
場所は、東京・表参道。
2018年8月31日(金)までです。
これは、一つの「挑戦」と言えるプロジェクトだと感じたので、みなさんとシェアしたいと思いました。
 
  
この「プラス グラフィズム」という展示は、ただのアート展ではないんです。
アート作品が置かれていて、それを鑑賞するだけという展示ではありません。
  
「プラス グラフィズム」というのは、展示会ではなく、一つのプロジェクトなんです。
「アート作品を起点にして、それを企業や店のブランディングにまで展開してみよう」という事業なのです。
 
この展示を見て、とても可能性を感じました。
今まで、アート作品を企業が取り入れるとすると、「ロビーラウンジに著名な現代アート作家の作品を置きました」という取り入れ方になりがちでした。
それはそれで価値はあるのですが、「プラス グラフィズム」という事業は、「アートを実践的に使ってみる」という視点を持っています。
そこが新鮮だと感じました。
  
言葉で説明するより、実物を見ていただくのが一番ですね。
お見せしましょう。
こんなイメージです。


 
 
 


宮嶋葉一さんの作品「バッハ」


宮嶋葉一さんの作品「バッハ」を、企業ブランディングに展開した場合のイメージ

 
 
今回の参加作家は、宮嶋葉一さん、袴田京太朗さん、内海聖史さんの3名です。
どの作品も、アート作品として、とても面白いです。
どれも、ユーモラスで、観る人に親しみを感じさせます。しかし同時に、作品がどのような視点で制作されているかを知ると、「なるほど」と脳がじわじわ刺激される感覚を味わえます。
 
この事業を主導しているのは、Azone+Associatesというグラフィックデザイン事務所です。デザイナーが主導しているということが、重要なのです。それについては、後述しましょう。
 
  

今回初めて発表されたプロジェクトなので、まだサービスの提供方法がはっきりと確定しているわけではありません。
例えば、こうした作品を、レストランが購入する。あるいは、あるレストランのために一つアート作品をオリジナルで制作してもらうこともありえますね。
そうした絵画や彫刻を、例えば、インテリアデザインに採り入れる。
そして、その作品からエッセンスを抽出し、そのエッセンスをショップカード、ウェブサイト、紙カップ、包装紙など、あらゆるアイテムに展開していく。
大事なのは、作家の世界観や意図に沿いながら、エッセンスを抽出するということです。ここで、グラフィックデザイン事務所が主導しているということが意味を持ってくるわけです。
グラフィックデザイナーがアート作家と綿密に対話して、作家の世界観や特性を見抜く。その上で、アートを販促物に援用していくわけです。
 
 
「アート」「ブランディング」というトピックに関心が高まっている今、その両者を橋渡しする興味深いプロジェクトと言えます。
 
もう一つ、別の観点から興味深いと思ったのは、このプロジェクトが、アート活動をビジネスとしても成立させうる一つの回路を提示している点です。
アート活動をビジネスとして成功させようと考えると、作品そのものに非常に高い価格をつけるという方向を考えてしまいがちです。もちろん、セルフブランディングに長けたアーティストは、そういう方向を推し進めることも一つの戦略でしょう。
ですが、今回のプロジェクトは、それとは異なる方向性を示しています。
 

 
 
 
そんなわけで、「アート」と「ブランディング」に興味ある方は、表参道エリアへ行った際に立ち寄ってみてください。
刺激やヒントをもらえるはずです。

 
 
 
以上、「アート」「ブランディング」、そして「挑戦」に関する話でした。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。〈塩田〉

 
 


袴田京太朗さんの作品

 
 
■「+Graphysm展:空間におけるアートの存在と、その連動。」
■2018年7月20日(金)~8月31日(金)日・月・祝日休
■参加作家:宮嶋葉一、袴田京太朗、内海聖史
■会場:void+(〒107-0062 東京都港区南青山3-16-14-1F) http://www.voidplus.jp
■入場無料



 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本で唯一、店舗デザインの最新事例とセオリーが学べる月刊誌「月刊 商店建築」。
最新号は2018年8月号。
こちらでも、目次のチェックやご購入ができます。
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=318





RSS2.0