今年9月にオープンした「ナインアワーズ浅草」。設計は建築家・平田晃久さん


みなさまこんにちは
商店建築ブログをご覧いただきありがとうございます。

2018年もあと1カ月半。
年末年始のお休みの友に、「商店建築」はいかがでしょうか。
ということで、今回のブログでは12月号と1月号に掲載する内容を少しだけご紹介します。

11月28日発売の12月号の目玉は「ホテル特集」。

「芦屋ベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート」のようなラグジュアリーホテルからカプセルホテル「ナインアワーズ」、集合住宅と一体となった「JURAKU RO petit hotel ALLA SETA」まで、
さらには都市型の「星野リゾート OMO5 東京大塚」や、中国の伝統民家を活用したリゾートホテル「Tsingpu Baisha Retreat」など、
多様化するホテルデザインの最新デザインを、バラエティ豊かなラインナップでお届けします!


川崎市の複合型ホテル「The WAREHOUSE」(設計/窪田建築都市研究所)。迫力の内観は、誌面でお確かめください。


商店建築では、毎号「業種特集」といって、ホテルやカフェ、オフィスなど一つか二つの業種に絞って特集しています。
同じくくり方でもさまざまなデザインが並び、それぞれのデザインの個性が際立ちます。
その中から、共通点のようなものを見つけられたらそれが今のトレンドだと言えるのではないでしょうか。

今回のホテル特集で、個人的に、まさに現代の空気感を表現していると感じたのが、表紙にもなっている「MALDA」です。
京都に建つこのホテルは4階建てで、1階はカフェ、2〜4階がそれぞれ1室ずつ、計3室という小規模なもの。

プロダクトなどを通して独自のものづくりを行うデザイナー・ヨーガン レール氏やブランド・ババグーリと協力しつくり上げたホテルで、小さな建物の中に凝縮された世界観を表現しています。
面白いのは、その世界観を持ちながら周囲に対して閉じていないこと。
街に向かって大きく開いた開口を介して内外の景色は行き交い、京都の町並みとホテルのデザインが溶け合う、そこにしかない風景をつくっています。
「京都らしさ」がどんなものかと考えた時に、古いものではなく、新しいものも受け入れながら長い時間をかけて馴染んでいく、という風景が浮かびます。
自然を想起させる内装の仕上げや、手の跡が残るような一つひとつのプロダクトはその風景と親和性が高く、またそれが街とシームレスにつながることで、「京都らしい」デザインはなくても、さまざまな文化を受け入れてきた京都と共存しているのではないでしょうか。


「MALDA」撮影中!


多くの人がSNSで情報を得る中で、企業も個人も別の個人と直接つながることが容易になりました。
その状況は、「こだわりを持つ個人」という具体的なターゲットの想定を可能にし、極端に言うと、100人中1人だけに響けば成り立つようなお店をつくりやすくなったのだと思います。
そういった店づくりに必要な「揺るがない世界観」や「こだわり抜いたデザイン」こそが、現代の空気感と呼べるのではないでしょうか。


欲しい情報を手に入れるのは確かに簡単になりましたが、それでも、実際に体験しないと分からないこともあります。
むしろ、簡単に情報が手に入るからこそ、実体験の価値が上がっているとも取れます。
なので商店建築を読んだ後、気になったお店があれば是非、実際に足を運んでみてください。
ここからは、編集部員が足を運びに運んだイベント「DESIGNART」について少しお話したいと思います。


藤元明氏と永山祐子氏による「2021#Tokyo Scope」。avexビルアトリウムに展示されました


今年で2回目となるDESIGNARTは、東京都内の80カ所を会場に120ものクリエイターが、アートやデザインを展示するという一大イベントです。
詳細レポートは年末12月28日発売の1月号でたっぷりお伝えするので、
ここではその一部を簡単にご紹介します。1月号をお楽しみに。

まずは、今年のデザイナートの顔とも言える、「2021#Tokyo Scope」。
アーティストの藤元明さんと、建築家の永山祐子さんがavexビルに展示した大型インスタレーションです。
節目として語られることの多い2020年以降の東京や日本を考えるというコンセプトです。
そしてこの展示では時間軸だけでなく都市軸も主題にしており、バルーンからは赤い軸線が前後に伸びています。
一方は先のオリンピックの舞台となった「ヘリテージゾーン」を、もう一方は六本木ヒルズ、ベイエリア方向を差していて、東京を舞台に未来への問いを投げかけています。
ビルで働く人達は、モノリスのようなバルーンの横を歩くのですが、日常の中に全く別のものが入り込んだ様子はとても不思議でした。


沖津雄司さんが手掛けた「focus」


こちらは、建築家・沖津雄司さんによる「focus」。
AXISビル内のショップ「リビング・モティーフ」内に展示されたもので、軽く、平らなレンズが外の風景や店内の様子を切り取って、それらがレンズ同士干渉し、混ざりあった景色を生み出します。



こちらが「Francfranc Forest」で展示された、デザイナー松山祥樹さんによる「Cut Out the Sky」。
会場ではDESIGNARTがキュレーションを行い、14組の展示が開催されました。
この作品は青空や茜空など、自然が生み出す光のグラデーションを再現した光のオブジェです。

1月号では、より多くの作品をご紹介します!
それまでは、現在発売中の11月号(カフェやベーカリーを特集しています!)と、今月末発売の12月号をお楽しみください!


〈平田〉


「商店建築」2018年11月号発売中!
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新作/銀座ソニーパーク
業種特集1/カフェ大特集
業種特集2/ベーカリー&スイーツショップ
特別企画/心地良く滞在できるトイレスペースデザイン
表紙:ディゾン 神保町
2018年10月26日発売
¥2,100
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