5月号特別企画「にぎわいを生む飲食店のデザイン作法」
2014/05/15 月刊商店建築
5月も中旬に入り、ゴールデンウィークのお休み気分からいつの間にかすっかり日常に戻りました。
暖かく過ごしやすい季節になり、編集部のメンバーは日々取材に撮影に駆け回っています。
さて、今回は現在発売中の商店建築5月号の特別企画「にぎわいを生む飲食店のデザイン作法」の
制作背景についてご紹介したいと思います。
通常「月刊商店建築」ではお店が新しくオープンした直後に取材・掲載をすることが多いです。
それは最新のデザインを読者の皆さんに届けたい、そんな思いがあるからです。
その場合は人が居ない状態の空間を撮影したお写真でご紹介する場合がほとんど。
空間デザインをより分かりやすくお伝えするためには、
この方法が適しているお店はもちろんたくさんあります。
ただ、分かりやすい意匠や華美なデザインがあるわけではないけれども、
ラフでカジュアルな雰囲気の中に居心地の良さがある、
オープンから時間を経てなお大切に使われることで、味わいが深まって魅力を増す、
そんな飲食店がとくにここ数年増えている気がします。
そんなお店のつくられ方を、商店建築でご紹介したいという思いから生まれたのがこの特別企画です。
六本木・さくら坂沿いの「Lauderdale(ローダーデール)」は、
2010年のオープン以来、昼夜問わずにぎわいを見せる人気カジュアルレストラン。
朝は近隣住民、昼は子連れグループ、夜はカップルや会社帰りのビジネスマンなど、
多様な客層と使われ方が特徴です。
デザインスタジオグラムの斉藤さんは、長年の付き合いであるオーナーと一緒にこのお店をつくり上げました。
「経年変化で風合いが増す店」を目指したとの言葉通り、
時間が経つことでより素材や空間が馴染み、多くの人々に愛されるお店となっています。
中目黒・山手通り沿いにある「pizza forno cafe(ピッツァ・フォルノ・カフェ)」は、
ワンコインから本格ナポリピザが楽しめるお店。
設計者を手掛けたのはバナナオフィス・尾崎大樹さん。
街ににぎわいをにじみ出させ、入りやすさとカジュアルな居心地良さを生み出す設計ポイントは、
「ショップフロントのつくり方」「ポップな色と古いもののミックス」「空間に“余白”を残すこと」。
代官山・渋谷・恵比寿の中間に位置する「 Weekend Garage Tokyo(ウィークエンドガレージトーキョー、通称WGT)」は
コンセプトが“毎日が週末”というカフェダイニング。
定期的な音楽ライブを始め、さまざまなイベントを開催しています。
設計は、窪田建築都市研究所の窪田茂さん。
空間は、天井の高さを生かしDIY要素を加えた、あえてつくり込まない絶妙なバランスのデザイン。
オープンキッチンやテラス席のつくり方も必見です。
更に、インタビューと図解を通じて設計の背景に迫りました。
インタビューページでは、店舗のデザインのプロセスや、ポイントについて
それぞれの設計者の方々に実際のお店で、じっくりと秘訣をお聞きしました。
図面解説ページでは、マテリアルやディテールに込められたストーリーと、
多様性を生む客席エリアの考え方を図説で分かりやすくご紹介。
取材にお邪魔する中で印象的だったのは、どのお店でもスタッフの方々が生き生きと働かれている姿でした。
お忙しい中、快く営業中の撮影や取材のお願いに応えてくださった、お店の方と設計者の方には心から感謝です。
おかげ様でいつもの商店建築とはちょっと違う、普段のお店の活気が伝わるような充実の誌面が出来上がりました。
続きはぜひ商店建築5月号をご覧ください。
昨今求められている「デザインし過ぎないデザイン」は、セオリーや言葉にするのが難しいこともあります。
この特別企画が「何かいいよね」と思えるようなお店づくりの参考になれば幸いです。
〈玉木〉
--------------------------------
商店建築2014年5月号
新作/あべのハルカス 近鉄本店
ドーバー ストリート マーケット・ニューヨーク
ルイ・ヴィトン タウンハウス
ザ・リッツ・カールトン 天津 ゼスト/テイタイケン/フレア
特別企画/にぎわいを生む飲食店のデザイン作法
業種特集1/専門店
業種特集2/クリニック
表紙:ドーバー ストリート マーケット・ニューヨーク
2014年04月28日発売
¥2,100
このエントリーのURL
URL