こんにちは。
毎月ご愛読ありがとうございます。
  
  
新作特集が充実しているんです。
最新号「商店建築2013年11月号」は。
 

その一つが、これ。
「スタージュエリー銀座店」です。
場所は、「東京都中央区銀座6丁目8-3 地下1階、1階」。
設計を手掛けたのは、インテリアデザイナーの奥昌子さん(プラスタック)。



 
  
ところで、突然ですが。
いま、商業施設の設計おいて最も重視されている要素は、何でしょうか。
    
おそらく、次の2点です。
「入りやすさ」と「若干の緊張感」。
    
「若干の緊張感」というのは、「特別感、非日常感、ブランドの世界観」などと言い替えてもよいかもしれません。
この二つの要素は、相反する要素と言えます。それを、いかに同時に満たすか。
日頃の取材をしていると、多くの設計者の方々がそこに注力していることがうかがい知れます。
   
    
話を戻しましょう。
「スタージュエリー銀座店」です。
この店舗でも、上記の「入りやすさ」と「若干の緊張感」の両立をはかっているように見えます。
    
立地は、角地に立つビルの1階と地下1階。2本の街路に面しています。
1階に、二つのエントランスが設けられています。片方は、自動ドアで、比較的気軽に入れるエントランス。もう一つは、アイアンワークをあしらった邸宅風のエントランスで。ドアマンが立っていることもあります。つまり、前者のエントランスは「入りやすさ」、後者のエントランスは「緊張感」を表現しています。
    
店内に入りましょう。
1階は、キラキラ感に満ちています。店内の随所に、ブランドのアイコンである星形があしらわれています。また、街路が店内に延長していったかのようなインテリアデザインで、ジュエリー店にありがちな敷居の高さが緩和されているように見えます。
    
    
続いて、アイアンワークの手すりが設置された階段で地下へ。
地下は、ブライダルジュエリーの専門コーナー。
オリジナルソファが置かれ、バーカウンターも設置されています。サロンのようなゆったりした居心地。
1階では「入りやすさ」に力点が置かれていたのと対照的に、地下1階では特別感が演出されています。当然ながら、ブライダルジュエリーを扱っているので、ブライダルに相応しい特別感や緊張感が必要というわけです。
     
いまいちど、本誌の写真と図面をじっくりご覧になってみてください。
そして、銀座に行かれた際には、実際にお店を訪れてみてください。
今日は、「入りやすさ」と「緊張感」という二つの軸で考察してみましたが、他にも多くの発見があると思います。
地下1階の階段付近に設置された仕掛けにも、ぜひご注目ください。メモリアル感を演出する仕掛けが設置されています。
    
    
   








 
 
さて、銀座の店舗をご紹介したついでに。
少々おまけ情報です。
「商店建築」的ギンザ散策のご提案。
スタージュエリー銀座店を見にいく際に、もしまだご覧になっていなければ、付近のお店もまとめて視察してみましょう。

●ドーバーストリートマーケット ギンザ・コムデギャルソン
 コンセプトデザイン:川久保 玲
 東京都中央区銀座6丁目9-5 ギンザコマツ西館
 2012年6月号
    
●トミーバハマ銀座店
 設計:乃村工藝社
 東京都中央区銀座7丁目10-1
 2013年9月号
 ぜひインタビュー記事「トミー バハマ 銀座店のイメージ& 空間デザイン」を読んで、設計プロセスを頭に入れてから、見学に行ってみてください。より多くのデザイン戦略に気付くはずです。
   
●ラズリ 銀座店
 設計:ベイリーフ
 東京都中央区銀座3丁目5-4 十字屋ビル4階
 2013年7月号
 誌面で、平面計画のポイントが解説されています。それを携えて現場に行ってみましょう。
   
●パラダイスダイナシティ
 設計:ベイリーフ
 東京都中央区銀座3-2-15 ギンザ・グラッセ 1F・B1F
 ただいま制作中の12月号に掲載予定です!!
 散策で疲れたら、ここで看板メニューのカラフルな小籠包を食べましょう。
   
●ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店
 設計:キュリオシティ
 東京都中央区銀座7丁目6-1
 2013年2月号
 1、2階が、ウオッチ&ジュエリーを中心とした、よりラグジュアリーなフロアへリニューアルされました。
   
●ルイ・ヴィトン松屋銀座店
 外装設計:青木淳建築計画事務所
 インテリア設計:ピーター・マリノ
 東京都中央区銀座3-6-1
 まずは、弊誌のブログ↓をご覧ください。
 http://www.shotenkenchiku.com/blog/shuzai/entry-534.html

●資生堂 本社新社屋「資生堂銀座ビル」
 設計/竹中工務店
 東京都中央区銀座7-5-5
 今年10月オープン。ただいま制作中の12月号「ファサード特集」に掲載予定です!!
   
●コワーキングスペース LEAGUE銀座
 設計/松井亮建築都市設計事務所
 東京都中央区銀座3-11-3
 ただいま制作中の2014年1月号で、このコワーキングスペースの開発プロセスが明かされます!
   
●クリスチャン ルブタン 銀座店
 設計:212box LLC 乃村工藝社
 東京都中央区銀座7-6-2
 2011年3月号
   
●田屋 銀座本店
 設計:千葉学建築計画事務所
 東京都中央区銀座4-6-17
 2011年3月号

 
 
思いつくままに、10件ほどピックアップしてみました。
全部まわったら、だいぶ歩き疲れそうですね。
  
  


ストーリー性に満ちたトミーバハマ銀座店


カラフルな小籠包が話題の中華レストラン「パラダイスダイナシティ」。1階と地下1階が、まったく雰囲気の異なる空間になっています


リニューアルされたばかりの「ルイ・ヴィトン松屋銀座店」。インテリアもエクステリアも、見どころ満載です

さて、最後に。
さらに手っ取り早く詳しく、銀座エリアの見るべき商業施設を把握したいあなた。
ものすごく便利な地図があるんです。(それを先に言えって?? そうですよね。すみません。。。)
 
「商店建築 2013年7月号」に掲載されている、連載「TOKYOインテリアツアー」。
銀座エリアのマップが載っています。
このマップを1枚コピーして、ポケットに入れておけば、それだけで済むわけです。
この連載ページは、コピーして折りたたんで携行していただくことを前提につくられています。
面白いのは、この連載記事が、実際に行われた見学ツアーのレポートだということ。
デザイナーの浅子佳英さんと安藤僚子さんによる案内で行われている商業空間ツアーなんです。
お二人による手描きマップとコメントを読みながらまわれば、たとえあなたが一人で見てまわる時でも、多角的な考察の視点を得られます。
味わい深い手描きの地図は、思考を刺激してくれるでしょう。
  
    

  
おっと、またしても、「おまけ情報」のほうが、長くなってしまいましたね。。。
   
新作特集が充実している「月刊 商店建築11月号」。
まずは、目次をご覧ください。
そして、書店で手にとってご確認ください。
もし書店で在庫切れの場合は、弊社ウェブサイトでも目次や掲載物件の概要をチェックしていただけます。
    
では、どうぞ秋の良い散歩を。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
〈塩田〉



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