ナインアワーズ竹橋(設計/平田晃久氏)

こんにちは。
いつもご愛読、ありがとうございます。
 
 
先日、ホテルを2軒、視察してきました。
弊誌のホテル特集は、最近、おかげさまで、とても好評をいただいており、ホテルに関する情報が求められていることを強く感じています。
そこで、編集部としてもホテル関連のリサーチには力を入れています。

 
というわけで、見てきました。
2軒とも、都心にあるコンパクトなホテルです。


ナインアワーズ竹橋


ナインアワーズ竹橋。中庭に面してガラス張りで、カプセルがよく見えます

一つは、「ナインアワーズ竹橋」。
設計を手掛けたのは、建築家の平田晃久さん。
今年3月にオープンしました。
 
ナインアワーズは2009年12月、京都に1号店を開業。その後、成田空港、仙台、北新宿などに展開してきました。
シンプルでスタイリッシュなカプセルホテルとして、知っている方も多いかもしれません。
ややネガティブなイメージのあった今までのカプセルホテルとは違う。女性でも泊まれそうだ。
そんな印象を持った方もいるでしょう。
 
たしかに、そうなんです。
しかし、6店舗目となる「竹橋」の出店から、ナインアワーズは新しい段階に入っています。
何が新しいのか。
それは、「付加価値」を付けている点です。

「竹橋」では、皇居が近いため、ジョギングする人のための拠点、ランニングステーションを設けています。
ランニングシューズの無料レンタルや、ランニングウェアやシューズロッカーのレンタルサービスも提供します。シャワーのみの利用もできます。
 
「竹橋」だけではありません。5月10日にオープンする「赤坂」(設計:平田晃久氏)では、コーヒースタンドを付帯する予定です。今夏オープンの「蒲田」(設計:芦沢啓治氏)にも、多様な用途に使える大型テーブルのある空間など、付加機能が付く予定です。
系列ブランドのカプセルホテル「ドシー」でも、恵比寿店にサウナが付いています。
 
こうして、ナインアワーズは、それぞれの出店地に合わせた付加価値を提供するカプセルホテルになっていくわけです。
今後、出店件数が増えるに連れて、ナインアワーズは「都市のインフラ」のような存在になっていくかもしれない、と感じさせます。
 
 
このように付加価値をつける戦略は、ファストファッションやメガネの業界でも見られますね。
例えば、ユニクロやJINSです。それらも、シンプルなデザインと圧倒的にリーズナブルな価格で、コストパフォーマンスの高さを打ち出し、多くの客から支持を得た後、ユニクロなら「ヒートテック」「速乾性」や、JINSなら「ブルーライトカット」「ドライアイ防止メガネ」など、付加価値を持たせた商品を開発し、競合他社との差別化をはかっています。
ナインアワーズでは、今後、どんな付加価値戦略が飛び出すか。とてもワクワクしますね。
 
ちなみに、「竹橋」は、建築デザインとしても非常に興味深いです。
中庭に向けて全面ガラス張り。つまり、カプセルが丸見え。室内から見れば、自然光がたくさん入るというわけです。
これほど視覚的に開かれたカプセルホテルを見たのは初めてです。

 
 
 


ホテル フェリーチェ赤坂(設計/神田亮平氏)


ホテル フェリーチェ赤坂

 
 
続いて、同じ日に、もう1軒、ホテルを見学してきました。
東京・赤坂に出来た「HOTEL FELICE(ホテル フェリーチェ)赤坂」です。
空間設計を手掛けたのは、インテリアデザイナーの神田亮平氏(Roito)。
2018年3月29日オープンです。
  
外国人宿泊客を想定し、和風の要素を濃厚に取り入れたデザインです。
1階レセプションには、木、石、そして漆風の仕上げを施しています。
更に、客室廊下には、驚きのデザインが用意されています。
客室内は、9〜13平米とコンパクトな面積ですが、壁面上部と天井に、ミラーや格子を用いて、閉塞感を感じさせない工夫が凝らされています。
  
  
このホテルには、もう一つ特徴があります。
それは、1階に「横丁」が付帯しているという点です。
ホテルのメインエントランスから奥へ進むと、小規模店舗がいくつか入居できるスペースがあります。
まるで建物の中に路地を引き込んだようなつくりです。
まだテナントは入っていませんでしたが、今後もし、飲み屋、寿司屋、バー、コーヒースタンドなどが入居すれば、ホテルの宿泊客が部屋に戻る前に立ち寄ったり、近隣のオフィスワーカーが訪れたりと、旅行者と生活者が交わるきっかけにもなりそうです。


ホテル フェリーチェ赤坂。客室

 
 
というわけで、いま、雨後の竹の子のごとく全国各地でつくられているホテル開発において、重要なのは、どんなコンテンツや付加価値によって個性を出すかです。
そして、その個性で、客に「ここに泊まって良かった」と感じさせることができるのなら、そのホテルは生き残っていくでしょう。
  
  
ただいま取材中の6月号で、「ホテル 大特集」を組みます!
ご期待ください!!


ホテル フェリーチェ赤坂。外観

 
 
 
なお、最近のホテルプロジェクトに関する資料をお探しの方は、以下をご覧ください。


ハイアット セントリック 銀座 東京
商店建築2018年3月号
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プリンスホテルの大型レストラン「DINING & BAR TABLE 9 TOKYO」
商店建築2018年2月号
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新年特別企画/ホテルシーンに新風を吹き込む新規参入企業インタビュー
商店建築2018年1月号
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ホテル&カジュアル宿泊施設
商店建築2017年10月号
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コンラッド 大阪
商店建築2017年9月号
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星のやバリ
星野リゾート界アンジン
商店建築2017年6月号
http://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=291


  
  
  
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。〈塩田〉
 
 
 
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