読者の皆様こんにちは。
早いもので10月に入り、気がつけばあっという間に今年も残り2カ月ですね。

ミナペルホネンの新店「call」の表紙が目印の、商店建築10月号はご覧いただけましたでしょうか。
内装まで一貫してこだわりが詰まったcallは改めて、ショップとはブランド哲学を表現する場なのだと感じさせてくれます。

さて、今回のブログでは、10月号特別企画「街のすき間を彩るモバイル&コンパクトショップ」の見所について、ご紹介したいと思います。

場所を限定せず、客のいるところへ自ら向かう「移動型店舗=モバイルショップ」。
そして、最小限の空間で世界観を表現する「狭小店舗=コンパクトショップ」。

この特集ではそんな、街の空地や変形敷地を楽しく彩る、
さまざまな業態や地域のショップデザインや取り組みをご紹介しています。

そこにはオーナーの新たな挑戦に応える、空間デザインがあります。
更には、自ら動く空間、小さな空間だからこそ、内部だけで完結しない街への広がりが見えてきます。

特集ラインナップはこちら!

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「街のすき間を彩るモバイル&コンパクトショップ」

■エル・カミオン/バジック
[記事]滝澤雄樹さん(バジック)に聞く
トラック型ビアバーのデザイン手法

■フィッシュタックルショップ/エイトデザイン

■キャラバントウキョウ/野本哲平事務所
[記事]神保匠吾さん(DRIVETHRU)、野本哲平さん(野本哲平事務所)に聞く
モビリティーが豊かにする日常

■MOBILE SHOP PHOTO GALLERY
Why Juice? ミニトラック / Del Popolo / SUPERTHNAKS BOX

■マクレーン/リーブスコーヒーアパートメント/siniolchu 落合浩平
[記事] 落合浩平さん(McLean)と石井康雄さん(LEAVES COFFEE APARTMENT)に聞く
小さな空間に共存する二つの食専門店

■ケースギャラリー/ニイゼキスタジオ
■森岡書店 銀座店/cmyk インテリア & プロダクツ

■街のすき間を活用するアイデアと実践
吉祥寺のさんかく屋台 / Minima Moralia

■イン/ポスト・アメニティー
■バブルスチルコーヒー/森大起
■アヤニシキ 懺悔室/ベルリーナ

■京家きよみず 祇をん新橋/鳥井雅人デザイン事務所
[記事]鳥井雅人さん(鳥井雅人デザイン事務所)に聞く
町屋のスケールと風合いを生かす飲食店設計
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「EL CAMION」(撮影/吉村昌也)

特集の巻頭を飾るのは、移動型クラフトビアバー「EL CAMION(エル・カミオン)」。
人気レストラン「T.Y.HARBOR」などを手掛けるタイソンズアンドカンパニーがスタートしたトラック型店舗です。
設計を手掛けたバジックの滝澤雄樹さんは、インタビューで「一瞬で記憶に残るインパクト」を大事にデザインしたと言います。
記事内では、カウンターを内蔵した移動型店舗という新しい試みだからこその、法規上や設備上の工夫も詳細をご紹介しています。
アメリカでは根付いているというフードトラック文化。「エル・カミオン」の事例から、日本における新しい飲食の楽しみ方が広がっていくかもしれません。


「CARAVAN TOKYO(キャラバントウキョウ)」は、オンラインマガジンDRIVETHRUが企画するキャンピングカー型貸しスペース。
表参道の「246COMMUNE」を訪れて、その姿が気になっている人も多いかもしれないですね。
小型軽量キャンピングカー「ルーメット」の改装した内装デザインを手掛けたのは、デザイナーの野本哲平さん。
従来のキャンピングカーにはない「クラフト的な温かみ」を取り入れることを考えたそう。
DRIVETHRUは他にもルーメットを活用した移動型スペースを企画しており、インタビューではディレクターの神保匠吾さんが考える「モビリティーが日常にもたらす豊かさ」について語っていただきました。


「CARAVAN TOKYO」(撮影/高木康広)

「MOBILE SHOP PHOTO GALLERY」コーナーでは、あえて「移動」という選択をし、その特性を生かしたユニークな運営と空間デザインを行う国内外三つのショップの取り組みを追っています。
そこからは、時代の変化と次世代型店舗の姿が見えてくるかもしれません。


コンパクトショップでは7店舗を取材しました。
最近個性的なショップの出店が続く東京・蔵前にオープンした「THE EAST」の1階は、片側から見ると、ハンバーガーショップ「MacLean(マクレーン)」、もう片方から見るとコーヒースタンド「LEAVES COFFEE APARTMENT(リーブスコーヒーアパートメント)」。
一つの区画を角地という特性を生かして、二つの専門店がシェアするというユニークな店づくりをしています。
インタビューでは、オーナー2人にその背景や運営上、設計上の工夫を教えてもらいました。


「MacLean/LEAVES COFFEE APARTMENT」(撮影/高木康広)

三角形の小さな敷地を生かして街に訴求する「ケース・ギャラリー」、一冊の本の世界観を凝縮する「森岡書店」のケースでは、それぞれオーナーに空間に込めた思いも掲載しています。

コラム「街のすき間を活用するアイデアと実践」では、その土地ならではの「街のすき間」を発見し、新たなチャレンジの場へと変容させる、日本とロンドン二組の建築家によるプロジェクトを紹介。

その他、一つの狭小区画に三つの店舗が同居する「INN」、ミニマムなコーヒースタンド「BUBBLES CHILL」、たった2畳のバー空間「ayanishiki」など、個性的なショップデザインが集まりました。

さらに、「日本の狭小空間」といえば町屋です。
京都の和食居酒屋「京家きよみず 祇をん新橋」では、町屋のスケールや特性を生かした親密な飲食店づくりがなされていて、そのポイントを設計者の鳥井雅人さんに教えてもらいました。


「京家きよみず 祇をん新橋」(撮影/繁田 諭)

小さな資本で大きなチャレンジが可能な、こうしたモバイルショップやコンパクトショップという選択は、これからますます増えていくのではないでしょうか。
特に、オフグリッド化が進み移動することが容易になった昨今、モバイルショップは従来のキッチンカーや屋台村から進化を遂げ、空間デザイナーが能力を発揮すべき新たなフェーズに入っているようです。

本特集でその可能性を感じていただき、次なる新しい提案のお役に立ててください。

〈玉木〉

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商店建築2016年10月号発売中!
新作/コール
  櫻井焙茶研究所
街のすき間を彩るモバイル&コンパクトショップ
業種特集/ファインダイニング&レストラン
表紙:CALL
2016年9月28日発売
¥2,100



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