皆さんこんにちは。
梅雨らしい天気が続きますが皆さんいかがお過ごしでしょうか。

本日のブログでは、7月号の特別記事「スモールホテル」についてご紹介します。
雨の日のお供に、是非ご覧ください。

万博やオリンピックを控えた現在、日本各地で毎日のようにホテルが生まれています。
「商店建築」でも年に2回、ホテル特集をお届けしていますが、それでも追いつかないほど。
そこで、7月号では「スモールホテル」に焦点を当ててみました。
カプセルホテルやドミトリーなど、小規模なホテルに着目することで、新しい観光の形が浮き彫りになります。
それでは、掲載したホテルを見ていきましょう。

一つ目は、京都に建つ「ホステル翆 京都粋伝庵離れ」。
京都を拠点に活動するアルファヴィルが設計を手掛けました。
歴史的街並みが残る西陣地区に建つカプセルホテルで、特徴は角度を付けて重なる木製カプセル。
その操作によってカプセル同士の間にバッファースペースが生まれ、荷物置きになったり、談笑スペースになったり、パーソナルスペースができたりと一気に空間が多様化します。
私も実際に宿泊したのですが、カプセルの入り口同士が向き合わないことで他のお客さんが気にならなくなったり、荷物の出し入れが快適になったりと、一つの操作で空間の質が劇的に上がっているように感じました。

その「ホステル翆」のすぐ近くに建つのが、「ゲストハウス樸宿 西陣」。
京都で多くの宿泊施設を手掛けてきた多田正治さんと遠藤正二郎さんが設計しました。
既存の建物を大きく減築して露地を通し、視線が抜けることで通りと連続します。
インタビュー取材で印象的だったのが、「清水寺や祇園のような分かりやすい京都らしさではなく、飾らないその土地の日常を求める観光客が増えている」というお話です。

鹿児島の港町・阿久根（あくね）に建つ「イワシビル」も特徴的な施設です。
ホステルと水産加工工場、ショップ、カフェが一体となった施設で、細部に至るまで「その土地にあるもの」からデザインされています。
宿泊施設は、よそから訪れる人とその街に住む人とをつなぐ場所。
地元の人が誇りを持って働けると同時に、泊まった人が自ずと地域に触れている状況が生み出されています。
運営は、1939年からイワシの丸干しをつくってきた老舗干物屋。
なぜ彼らがホステルを始めたのでしょうか。知名度も高くない阿久根で宿泊業は成り立つのでしょうか。
気になりますよね。是非本誌でご確認ください。笑

最後にご紹介するのが、川越のゲストハウス「ちゃぶだい」。
地区およそ100年を超える長屋を改装した事例です。
地域で大事にされてきた建物で、宿泊客や観光客と、近隣の人々、店をつなぐことを施設を目指しているそう。
その考えは運営にも現れています。
施設にはシャワー室しかないため、客には近くの銭湯を勧めたり、食事も提供しないことで近隣のお店に足を運ぶよう伝えているそうです。
そしてそうすることで、訪れた人たちが観光地としてその場所を消費するのではなく、地域を体験してつながることができます。

最初に書いたように、現在日本の至るところで宿泊施設がつくられています。
先日、京都市が「数としては満たされつつある」という認識を示したことがニュースにもなりました。

↓京都新聞へのリンクです
https://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20190528000015

「駅が近い」や「安い」だけで選ばれるのは難しくなるでしょう。
これからは、「そのホテルじゃないといけない理由」が必要になります。
同時に、観光客が増えることで近隣住民との間でトラブルとなるケースも少なくありません。

7月号で掲載したラインナップはどれも「あえて」そこに行きたくなるようなホテルばかりです。
そんなホテルはどのようにつくられているのか、是非本誌をご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。（平田）


◎ラインナップ◎
・器
・ホステル翆 京都粋伝庵離れ
・ゲストハウス樸宿 西陣
・㎥ HOSTEL
・Tinys Yokohama Hinodecho
・CAFETEL 京都三条 for Ladies
・イワシビル
・ちゃぶだい Guesthouse,Cafe&Bar

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商店建築2019年7月号
新作/無印良品 銀座／ムジホテル 銀座
特別企画1/場所と対話し、地域に根差すスモールホテル
特集/人生の節目で、日常の中で、人が集いたくなる「現代のサロン空間」
業種特集/ヘアサロン&ビューティーサロン
REPORT/ミラノ・デザイン・ウィーク2019
FOCUS/清春芸術村ゲストハウス
表紙：㎥ HOSTEL
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定価￥2,100