2016年が幕を開け、早2週間。ここ数日はしんと冷える日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
お正月ののんびり気分もあっという間に消え去り、取材に駆け回る通常運転の商店建築編集部の玉木です。

最新店舗デザインを実務に役立つ豊富な知識と共にみなさまにお届けできるよう、
編集部一同精進いたしますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、商店建築では毎年新年号に特別企画の特集を組んでいます。
現在発売中の2016年1月号の特別企画は「CONSTRUCTION & STOREDESIGN デザインを実現に導く施工術」。

これまで誌面で、なかなか取り上げる機会の少なかった店舗デザインの「施工」にフォーカスしています。
質の高い空間設計には、設計者の意図を汲み取り、実際のものに落とし込む、施工者の存在が欠かせません。
特に日本の施工業者や職人のレベルの高さは、多くの設計者の語るところです。
今回の特集では、そのような施工を実現するためのヒントを詰め込んでいます。


特集巻頭は、設計者と施工者による座談会記事「高い施工レベルが実現する空間デザイン」。
空間からプロダクトまで多岐のデザインを手掛けるトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん、
多くの設計者からの信頼を得る施工業者イシマルの芦沢主水さん、
特注ガラスを多く手掛ける老舗ガラス業者である三保谷硝子店の三保谷さんの3者に、
設計者と施工者の協働の仕方について語ってもらいました。

実はこの座談会を企画したのは、トラフ建築設計事務所が手掛けた中野のアイス店「スノーピクニック」(商店建築2014年11月号掲載)へオープン直後に訪れたのがきっかけです。
その時、偶然芦沢さんと三保谷さんもお店にいらっしゃっていました。
施工が終わった後もしっかりご自身が担当した現場を訪れる、その各々のプロフェッショナルな姿に感銘を受け、いつかお話を伺い誌面でご紹介したい! と思っていたのです。
お互いの信頼関係の上で、各々の技術や意見を持ち寄りながらコラボレーションすることで、より良い空間へと進化していく施工プロセスと秘訣を教えてくれています。


若手建築家の方々から依頼を多く受けて施工を行い、自社設計物件も手掛ける、施工業者TANK。その最前線で活躍されている柴田祐希さん、大沼千尋さんへのインタビューも掲載しています。
更にスキーマ建築計画の長坂常さん、POINTの長岡勉さんにも「設計者から見た『施工』」というテーマで、お話を聞いています。
記事を読んでいただければ、TANKが若手建築家から信頼を得ているのか、施工者は今何を求められているのかが分かるのではないでしょうか。

また、従来の分業制に疑問を感じ、設計施工を一連で担う3者のレポート記事「設計施工の新潮流」では、鈴木一史さん、HandhiHouse project、鯰組の仕事を紹介しています。
それぞれのアウトプットの方法に差異はあるけれど、そこにはクライアントと親密な関係を築きながら空間を生み出したいという共通した思想が感じられます。
ちなみに、HandiHouse projectの取材では、南葛西でまさに進行中の施工現場にお邪魔しました。
オーナーファミリーとご近所の小学生も混ざりながら、前面道路に開かれたオープンな環境の中、和気あいあいと自主施工を進める姿に、ものが生み出されていく現場のパワーを感じました。


他にも、設計者・施工者へのアンケート企画「店舗の施工Q&A 気をつけるべきポイントはここだ!!」、
大阪の左官職人・梶原正巳さんに聞いた「店舗に求められるスピードと質の両立」、
ベテランインテリアデザイナー・大橋正明さんによるレクチャー「設計者が知っておきたい 工事費の見積もり書AtoZ」など、
明日から実務に役立つ施工のヒントが盛りだくさんです。

ぜひ、2016年1月号商店建築をご覧ください。

〈玉木〉


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商店建築2016年1月号
新年特別企画/CONSTRUCTION & STOREDESIGNデザインを実現に導く施工術
新作/ドミニク・ブシェ トーキョー
   アイヴァン 京都
   リッツ カールトン マカオ 麗軒
業種特集1/日本料理レストラン
業種特集2/アミューズメントスペース
表紙:ドミニク・ブシェ トーキョー
2015年12月28日発売
¥2,100



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