『Commercial Space Lighting』vol.5が、本日発売になりました。第5弾のテーマは、「マテリアルを魅せるライティング」。デザイナーが選び抜いた、職人とつくり出したマテリアルに意図しない表情をもたらしてしまうのか、意図した以上の表情をつくり出すのかは、ライティングにかかっています。世界を舞台に活躍するベテランから若手まで、さまざまな照明デザイナーが登場し、空間デザイナーとの対談を通して、理想的なライティングの在り方を探ります。思い描いた空間を実現する上で、空間デザイナーやオーナーも必読の一冊です。


撮影/山本育憲


nishinakasu 泥川武士
照明計画や特注照明、ファサード、インスタレーションなど、ライティングにまつわる事例について、さまざまな角度から切り込んでいます。
「nishinakasu 泥川武士」は、和食のエッセンスを採り入れたフルコース料理で人気のイタリアンレストラン。カウンター席のみで構成された客席の壁面や天井には、越前和紙の雲肌紙やトリュフビーチ材が貼られていますが、照明計画で最も重視されたのは、シェフの泥川武士さんの所作や料理を引き立てるライティングでした。手元を照らすユニバーサルダウンライト6灯は天井のスリット内に仕込まれ、演色性の良い光源を使用すると共に、机上面で300~400lx程度の明るさを確保。テーブル面からの反射光で、シェフの表情もクリアに見せます。
(設計/タカスガクデザインアンドアソシエイツ 照明計画/BRANCH LIGHTING DESIGN)


撮影/太田拓実


FYLGDU MÉR OSAKA.
照明に関する図面を充実させ、照明配置図にはそれぞれの器具を紹介する一覧を記載しています。
オーガニックカフェ&レストラン「FYLGDU MÉR OSAKA.」では、壁際にスリット照明を設け、左側のトラバーチンを光がなめるように角度を調整。また、右側の左官壁は、床に当てた光のリバウンドで照らし出されます。奥のオープンキッチンは、客席と厨房を同じ色温度で揃え、空間に連続性を持たせています。カウンター席およびキッチン内のテーブルには、棚下照明が設置されました。
(設計/TERUHIRO YANAGIHARA STUDIO 照明計画/NEW LIGHT POTTERY)


撮影/ナカサ&パートナーズ


gallery de kasuga
今回の照明計画特集では、レストランやカフェ、物販店、ホテルなど、さまざまな業態を掲載しています。
ギャラリー、ラウンジ、サロンから成る複合商業施設。ギャラリーは、白を基調色とした空間にバッグなどのプロダクトが並ぶ「hide k 1896」と、漆黒の空間にオーナーがセレクトしたアイテムが並ぶ「gallery de kasuga」で構成されており、それぞれの空間をマテリアルやカラー、ライティングにより特徴づけています。天井には、ベースライトとアクセントライトが並び、調光によってイベントや什器構成の変化に対応します。
(設計/beatnik 照明計画/L.GROW lighting planning room)


撮影/長谷川健太 写真提供/サポーズデザインオフィス


MARK’S TABLE
月刊『商店建築』に掲載された事例からも、照明計画や特注照明にフォーカスを当て、誌面では紹介できなかった詳細な情報を盛り込んでいます。
モダンアメリカンレストラン「MARK’S TABLE」(19年3月号)のオーク無垢材でつくられたカウンター上には、パイレックスガラス製チューブのペンダントライトが吊られています。ペンダントライトは、テーブルを直接照らすのではなく、R状に折り曲げた銅メッキのパネルに反射した光を広げます。
(設計/サポーズデザインオフィス 照明計画/モデュレックス 特注照明/L&L)


撮影/ナカサ&パートナーズ Yuriko Takagi


i liv
ライティング・ファサード特集では、ただ建物のライトアップを紹介するだけでなく、街との関わり方についてもスポットを当てています。
銀座・中央通りに面した商業ビルのファサードでは、光のラインがうねります。前面に配した避難バルコニーと厚さ12㎜の高透過倍強度ガラスを4枚重ねたルーバーの間の床面および天井を鏡面仕上げとし、ドット型LED照明をアッパーに設置。光が乱反射することで、ファサードに幻想的なシーンをつくり出しています。なお、テナントの営業中は、店内照明の色味を踏まえたライティングです。光のラインや消灯部分をゆっくりと付加することで、さまざまな表情を魅せます。
(設計/日建設計 照明計画/ワークテクト)


撮影/浅野 豪


GOOD NATURE STATION
動きのあるライティングを通して、空間に変化をもたらす特注照明を多数掲載しています。
ライフスタイル提案型複合商業施設「GOOD NATURE STATION」のエスカレーター上に吊られた球体照明。須藤玲子さん(NUNO)が制作したカバーを掛けており、立体感のあるオーガニックな表情がもたらされています。また内部は、250個のLED照明で構成されており、一つひとつを制御することによって有機的な動きを実現します。自然光が入らない空間で、「朝の太陽」から「夜の月」へと姿を変えていき、一日の時間の流れを感じさせることを意図しました。
(特注照明設計・制作/プロペラ・アンド・カンパニー 演出デザイン/ライゾマティクス・アーキテクチャー)

Zoomでのインタビューなど、いつもとは異なる取材スタイルとなりましたが、皆様のご協力により無事に発行できました。この場を借りて御礼申し上げます。また、読者の皆様には、是非書店にてご高覧いただけますと幸いです。いつも以上にライティングの進化を感じられる一冊に仕上がっております。


Commercial Space Lighting vol.5
質感を魅せるライティング

・デザインを昇華する照明計画
・コンセプトを表現する特注照明
・街並みに問いかけるファサード・ライティング
・光を交えたインスタレーション

表紙:玉川髙島屋S・C 本館 グランパティオ
   設計/永山祐子建築設計 officeXAD 日本設計
   照明計画/岡安泉照明設計事務所

2020年7月30日発売
¥3,500+税


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