5月号/特集 情報整理の空間デザイン
2013/05/07
こんにちは。
いつもご愛読、ありがとうございます。
ゴールデンウィークは、いかがでしたか。天気の良い連休でしたから、自動車、家具、洋服などを見にショップやショールームへ足を運んだ方も多いのではないでしょうか。プロのデザイナーの皆さんは、休日とはいえ、つねに「設計する側の視点」を忘れずに空間を観察されているはず。きっとショップやショールームで新しい発見がいろいろあったのではないでしょうか。
さて、最新号の「月刊 商店建築 2013年5月号」。
目玉特集の拾い読みをしてみましょう。「立ち読みで中身を吟味している時間すらない!」という多忙なあなたにお送りします。お時間ある方は、ぜひ書店へ。
5月号の目玉特集は、「特集 情報整理の空間デザイン」です。
副題は、「商品陳列のシステムをいかに考案するか」。
ショップやショールームの空間デザインにおいて、商品をどう見せるか。新時代の“商品の見せ方”を研究しましょう。そんな内容です。
ここ数年、取材を通して多くの設計者の方々と話しながら、感じていたことがあります。それは、長引く物販店の営業不振などを背景に、クライアントの方々が設計者の方々に期待する水準が高くなっているのではないか、ということです。
皆さんも、クライアントの方々から、「売り上げにつながる空間デザインをしてほしい」とこれまで以上に強く依頼されるようになってきていないでしょうか。そうなると、設計者としては、「このデザインがどんなふうに売り上げにつながるのか」をクライアントに説明し提案しなくてはなりません。
そこで、店舗デザイナー応援マガジンである「月刊 商店建築」としては、効果的な商品の見せ方が可能になるような空間デザインを研究したら、デザイナーの皆さんに役立ていただける資料がつくれるのではないか。そう考えました。
それが、この特集「情報整理の空間デザイン」です。
複雑化する商品ラインアップを、いかに整理してショップ空間で来店客に提示すればよいでしょうか。六つの実例を通して、商品の見せ方を研究しました。
ではまず、掲載事例の紹介。
以下6件です。
各事例の設計者や開発者の方々に取材しました。
スーツセレクト恵比寿店 SAMURAI+窪田建築都市研究所
コクヨファニチャー 上海フラッグシップショールーム コクヨファニチャー
コスメブランドLUNASOL 展示会空間構成 トネリコ
オートモビールタワーディスプレイ 日進機工
UNITED NUDE ルミネ新宿店 レム・D・コールハース
ルカリエナ グランフロント大阪店 乃村工藝社
まず、「スーツセレクト恵比寿店」。
クリエーティブディレクションを手掛けた佐藤可士和さんと店舗設計を手掛けた窪田茂さんに、「スーツセレクトのブランディング&空間戦略」についてインタビューしました。
通常、忙しい若手のビジネスマンにとって、スーツを購入するという行為は、どちらかと言うと、楽しさより面倒臭さのほうが先にたってしまうのではないでしょうか。なぜでしょうか。それはおそらく、「スーツを購入するための時間」の中身が、「選択肢(スーツやネクタイなど)をピックアップする時間」と「それらの組み合わせを検討し、どの組み合わせで購入するか決める時間」の二つの時間で構成されているからではないでしょうか。
そこで、「スーツセレクト」の一連の店舗では、前者の時間を徹底的に排除し、後者の時間にいち早くたどり着けるような工夫がなされています。
それを可能にしたのは、まさに空間デザインの力です。システム什器の力です。
誌面には、システム什器の図面も詳しく掲載しました。
つづいて、「コクヨファニチャー 上海フラッグシップショールーム」。
設計を手掛けたコクヨファニチャーの佐藤航さんと、照明デザインを手掛けた武石正宣さんに取材しました。
このショールームでは、中国の新しいマーケットにコクヨファニチャーの家具の魅力をいかに伝えるか。それがミッションでした。佐藤さんは、「層」をコンセプトにして、商品の魅力を五感で伝える空間を設計しました。言葉やパネルで伝えるよりも、まずは五感で体験しながら理解してもらう。そんな仕掛けを随所に散りばめながら、ショールームを構成しました。
中でも、その体験型を支えるのは、非常に美しく不思議な光り方をする「プロダクトタワー」です。武石さんが、その光の演出手法の狙いと仕組みを説明してくださいました。
つづいて、コスメブランド「ルナソル」の新作展示スペース。
トネリコの米谷ひろしさんにインタビューしました。
これは、毎シーズンの新作発表のために、たった一日だけ設営される展示スペースです。もし皆さんが、そんなスペースの設計依頼を受けたら、どんなことに重点を置いて設計しますか。
そう、商品そのものの魅力を伝えるのはもちろんですが、そのシーズンのテーマをどのように来場者に短時間で理解してもらうかが大変重要になります。ルナソルが、そのシーズンにどんな世界観やメッセージを打ち出すのか。それが空間デザインのポイントになります。その考え方を、いくつもの写真とコメントで解説しました。
今回も、文字数が増えてきました。。。すみません。ペースを上げましょう。
つづいて、「オートモビールタワーディスプレイ」。
自動車ショールームのための、自動車陳列システムです。視認性とインパクト大です。
まだ日本国内に数えるほどしか実現していないのですが、もしかすると、自動車を運転しているときに、車窓からこのシステムを実際に見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このシステムは、自動車産業が盛んな名古屋市に本拠を構える日進機工というメーカーが開発しています。
自動車業界へのリスペクトから生まれたプロジェクトです。自動車という大きな商品を陳列するためのシステムであるにもかかわらず、まるでジュエリーの什器を開発するかのごとく繊細に開発を進めてきたプロセスが興味深いです。
さらに、レディースシューズのブランド「UNITED NUDE」。
独特のフォルムを持つ商品群と、それを陳列するための端正なショップ空間が鮮烈です。
設計者であり、ブランド創設者の一人である レム・D・コールハースさんに取材を敢行しました。
最後に、こちらもレディースシューズの新ブランド「ルカリエナ グランフロント大阪店」。
設計を手掛けたのは、乃村工藝社の松浦竜太郎さん。
最後のページにこのプロジェクトを掲載したのには理由があります。
お気づきでしょうか。これまでの5事例は、どのように商品を整理したり、どのようなヒエラルキーやシークエンスを設定して効率的に来店客に商品を理解してもらうかに力点が置かれていました。つまり、設計者が店舗運営者に対して、「このように顧客に商品を見せましょう」と提案しているわけです。当然ながら、これは大変重要な作業です。この重要な作業を研究するために、今号の特集を制作しました。
ところが、この「ルカリエナ グランフロント大阪店」は、一見すると、整理、効率性、ヒエラルキー、シークエンスなどと対極の空間デザインに見えます。店内にはフラットにランダムに、円筒型の什器が森のように並んでいます。商品も一望しにくい。むしろ、客がお気に入りの商品を探しながら、一つずつの商品と向き合っていく。そんな商品のディスプレイ手法です。設計者の松浦さんは、このプロジェクトで、整理よりも自由度と能動性を重視しています。
これもまた、一つの商品陳列手法です。
さて、皆さんは、どんな商品陳列の手法やシステムをデザインしますか。
ヒントは、商店建築5月号「情報整理の空間デザイン」にて。
更なる資料をお探しの方に、追加情報です。
商品の見せ方について最新の事例を更に研究する必要のある方は、同じ5月号の巻頭に掲載されている以下の2事例もご覧ください。
伊勢丹新宿店 丹下都市建築設計+GLAMOROUS co.,ltd.
自動車ショールーム グラーツ NAP建築設計事務所
更にもう一つ追加情報です。
ただいま制作中の6月号に掲載予定の「コーチ表参道」もご覧ください。このショップでは、シンプルで柔軟な商品ディスプレイのシステムがあらゆる出店形態に対応するという、大変挑戦的な提案がなされています。設計を手掛けたのは、重松象平さん率いるOMAニューヨークオフィス。物販店の設計を手掛ける方々は必見の最新ショップです。
さあ、これで、商品のディスプレイ手法と空間デザインについて考えるための最新資料は、完璧に揃いましたね。
空間デザインにおける商品のディスプレイ手法を研究した5月号。
もし書店で在庫切れの場合は、弊社ウェブサイトでも目次や掲載物件の概要をチェックできますし、ご購入もできます。
どうぞご活用ください。〈塩田〉
商店建築建築5月号好評発売中!
新作/伊勢丹新宿店
グラーツ
特集/情報整理の空間デザイン
業種特集1/和食店
業種特集2/ヘアサロン&スパ
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