デンタルクリニックデザインの今をここに集約!/今月の書籍・増刊号
2012/05/10 商店建築からのお知らせ
4月28日に弊社HP上でも販売を開始した『Dental Clinic Design』を今月は紹介します。この書籍はいくつかの書店とインターネット上でしか販売しておりません、実際に手にとって読むことができる機会があまりないと思われます。是非ここでどのような本であるかを確認してください。
本書では約40件の歯科医院を紹介しております。ここで掲載されている歯科医院はデザイン性の高さはもちろん、診療科目によって変わる患者さんにとって最良の空間デザインを施していることが大きな特徴の一つです。高級感が感じられて通うだけでステータスを感じられるような審美歯科、子供がリラックスして診察までの時間を過ごすことができるよう工夫を凝らした小児歯科、温かみを感じられるデザインにより歯科特有の「怖さ」をなくした一般歯科などを掲載しております。
本書に掲載された歯科医院の中から「ALFA DENTAL OFFICE」と「I Dental Clinic」の二つの歯科のデザインについて紹介していきたいと思います。
こちらは群馬県にあります「ALFA DENTAL OFFICE」の写真になります。このクリニックの院長の要望の一つに「来ることが楽しみになるような空間」という要望がありました。この要望をかなえるためにDJブースを設置した受付や、カフェのような落ち着ける空間をイメージした待合が作られたそうです。
診察室内部には“黒い箱”と“余白”の二つの空間が存在しています。この二つの空間の関係性によって、ひとつづきだった空間がカウンセリングルームやメンテナンスルームとして姿を変えていきます。そしてそれと同時に回遊性のある導線や奥行きを生み出しています。
この診察室内部の写真については詳細ページの誌面サンプルからご覧いただけます。
こちらは愛知県常滑市にあります「I Dental Clinic」です。こちらの診察室は中庭に面した場所に作られています。中庭の緑は診療を受けている患者さんの目を楽しませて緊張をほぐすだけではなく、中庭を挟んで対峙するチェアの目線を遮るパーテーションとしての機能も発揮しています。
また全面杉板本実型枠打ち放しのファサードとボックス状の外観は一見近寄りがたい印象を与えてしまいます、しかしその中に一歩踏み込むと中庭の豊かな緑と温かみのあるオーク材フローリングが迎えてくれます。この内観と外観のコントラストが患者さんの安心感をより大きくしてくれます、この歯科医院では視覚的な心理効果によっても患者さんの心をがっちりつかむことに成功しています。
巻末に書かれている歯科医院が出来上がるまでのケーススタディーでは歯科医とデザイナーのコミュニケーションから理想の空間作りについて、デザイナー・インデックスでは空間デザイナーが考える今後の歯科医院のあるべき姿についてまとめています。このような記事を読むことで様々な角度から空間デザインに対する考え方を学ぶということも本書の醍醐味の一つです。
歯科医院に限らずどのような空間においても、デザインだけではなく機能性やホスピタリティも融合した空間づくりが重要になってきています。これからの空間デザインについて考えを巡らせるのに良い刺激になる一冊ではないでしょうか。
〈主濱〉
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