繊細なスチールパイプ製の「ベール」に覆われたチャペル


デザイナー自らが国際的アワード受賞作の空間で、じっくり設計コンセプトを語る。
そんな見学会に行ってきました。


パレスホテル東京の外観。5階の縦長の大開口部がチャペル


乃村工藝社のクリエイティブディレクター、平田裕二さんが現場でデザインのプロセスを説明した


チャペルを見通す

場所は、パレスホテル東京(商店建築2012年6月号掲載)のチャペル。このチャペルが、2012年度のアジアデザインアワードで、大賞と金賞をダブル受賞しました。
設計者は、乃村工藝社の平田裕二さんです。

受賞を機に、改めて、実際にその空間の中で設計者自身がデザインコンセプト、素材選び、構造体のスタディー、メンテナンス性などについて語りました。
プレゼンに使用した模型、スケッチ、パースなども見せながら、たっぷり1時間。
開始時刻にはチャペルに自然光が差し込んでいましたが、終わる頃には大開口部からロマンチックな東京の夜景が見え始めていました。


細いスチールパイプは、一本一本人の手作業で編み込んだ


チャペルの構造を説明したスケッチ


各要素は、宗教色や洋風のテイストを強く出さないニュートラルなデザイン

包みこむような優しさを表現し、ロケーションの良さを最大限生かしたチャペル。
白塗装のスチールを手仕事で組んだ「ベール(膜)」に包まれた空間は、温かさと軽やかさを感じさせます。
この表現を実現するために、所々に構造的な工夫がなされています。
荷重を分散させるために天井からの吊り構造とし、さらに水平方向に細いワイヤーを通すことにより横揺れに対する強度も持たせたそうです。
また、なるべくフラットでシンプルな天井面とするために設備やメンテナンスのためのキャットウォークを天井裏に設けています。


祭壇の向こうには、日比谷公園、丸の内、皇居、霞ヶ関、遠くには六本木も見える



祭壇側から入り口を見返す。天井の両サイドからは自然光が差し込む


模型を前にしてコンセプトを説明する平田さん


精巧につくられた1/50スケールの模型

今回のツアーで興味深かったのは、現地でデザイナーの話を聞けたこともさることながら
オープン後のクライアントや利用客の反応を伺えたこと。
東京の景色を見通せる絶好のロケーションであること、宗教色のないシンプルなチャペルであること、
などの理由からお客さんの評判も上々で、なんと1日最大12組が婚礼をあげているそうです。

平田さんとパレスホテルの関係を表すエピソードを一つご紹介。
スチールパイプを水平に組んだデザインのチャペルに対し平田さんがパレスホテルの方に
「メンテナンスはきっと大変ですよね、だいじょうぶでしょうか」
と質問したところ、パレスホテル側は
「このデザインはうちの商品ですので、ケアするのが当たり前です」
と返ってきて、平田さんはとても嬉しかったそうです。

上質なデザインを認めて受け入れる姿勢が、良い環境をつくっていくのだと改めて感じました。

〈塩田、玉木〉

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