2月号/生まれ変わったルイ・ヴィトンの空間デザイン戦略
2013/02/11 月刊商店建築
こんにちは。
いつもご愛読、ありがとうございます。
本日は、最新号「月刊 商店建築 2013年2月号」の注目ページを拾い読みしてみましょう。
「立ち読みで中身を吟味している時間すらない!」という多忙なあなたにお送り致します。お時間ある方は、ぜひ書店へ。
この表紙、何か分かるでしょうか。
「銀座のあの店だ」とピンときた方は、店舗デザインの動向を常にチェックされているはず。
そうです、リニューアルされた「ルイ・ヴィトン銀座並木通り店」です。
1階と2階がウオッチ&ファインジュエリーの専用サロンとして、よりラグジュアリーな空間に生まれ変わりました。
設計を手掛けたのは、デザイナーのグエナエル・ニコラさん(キュリオシティ)。
「まったく新しいコンセプトでウオッチ&ジュエリーのサロンをつくりたい」という設計依頼を受けたニコラさんは、日本のクラフトマンシップやアートの力を取り入れながら、この空間をデザインしました。
建材、アート、テーブルランプなどの一つひとつまでオリジナル制作しています。
この空間には、物販店デザインのアイデアが詰まっています。
そこで、ニコラさんにインタビューしました。
タイトルは、「新生ルイ・ヴィトンを支える六つの空間デザイン戦略」。
その戦略は、「目に見える変化」「導入スペースとスケール感の操作」「フロート感と透明感」など。
テーマに分けて、コンパクトに解説しています。
誌面のイメージは、ニコラさんが店内を案内しながら設計論をあなたに直接レクチャーしている、そんなイメージです。
このルイ・ヴィトン銀座並木通り店は、地下1階と5階は既にリニューアルを終えています。残る3、4階は、今年春のリニューアルオープンを控えており、1、2階と同様、ニコラさんの設計です。

今回のリニューアルで、路面に面したショーウインドーも刷新しました。ウインドーの上下に黒いファブリックが設置されているのが見えるでしょうか。このオリジナルファブリックについてもニコラさんがインタビューで解説しています
さて、少しだけ追加情報です。
ニコラさんは、このインタビューの中で、まず完璧に美しい空間をデザインした上で、あえてそこに「twistしたもの」を入れたと言います。「twistしたもの」というのは、正統的なものとは反対に新規性、ひねり、刺激、挑発といった要素を持ったものという意味合いです。
確かに、店内を見回すと、伝統的な箔工芸の技術を使ってあえて壊れたような過激なテクスチャーを持たせたテーブルを置いたり、若手陶芸家による割れた陶器のようなエッジの効いた作品を設置したりしています。
なぜルイ・ヴィトンは、そんな「twistしたもの」を空間に取り入れることができるのか。それは、ルイ・ヴィトンが自らのブランドに自信を持っているから。ニコラさんはそう言います。
上記の若手陶芸家は、竹内紘三さんです。
ルイ・ヴィトン銀座並木通り店に、竹内さんのオリジナル作品が入っています。
弊社刊行の住宅誌「アイムホーム. no.61 2013 January」の「CLOSE-UP」というコーナー(P.30)に竹内さんの制作プロセスが詳しく載っています。この記事が非常に面白い。というのは、ニコラさんが今回の空間デザインで強く意識した「タイムレス」というコンセプトと同じ考え方を、竹内さんも別の言葉で語っているからです。ニコラさんが代官山のアートギャラリーで竹内さんの作品を見た瞬間に、「こういうタイムレスでtwistしたアートピースが、今回のルイ・ヴィトンの空間には必要だ」と直観した理由が大変よく分かります。
空間デザインとアートの関係にご興味ある方は、ぜひ「アイムホーム」のインタビュー記事も合わせてご覧ください。
では、みなさんは、「twistしたもの」と聞いて、他に何を思い浮かべるでしょうか。
やはり、現代アートを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
そもそもルイ・ヴィトンは、村上隆さんなど現代アートの作家とコラボレーションしたり、各国のアーティストの作品を紹介したりと、現代アートと強い関係を築いてきました。
例えば、昨年の草間彌生さんとのコラボレーション。「商店建築 2012年9月号」の表紙にもなりました。
また、ルイ・ヴィトン表参道店のギャラリー「エスパス ルイ・ヴィトン東京」でも、見応えのある現代アート展が次々開催されています。空間デザイン業界のみなさんも、昨年開催された「Madness is par t of Life エルネスト・ネト展」に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。(商店建築2012年12月号で詳報)
また、現在開催中の「Urban Narratives -ある都市の物語-」も、見応えがあります。インドの現代美術家たちの作品が展示されています。経済や産業の発展が著しい国で暮らす人々にとって、興味深い問題を扱っているエキシビションです。
こうした現代アートはどれも、怪しさ、驚き、美しさなどを私たちに感じさせます。つまり、こうした「twistしたもの」はエネルギッシュなんです。そのエネルギーをルイ・ヴィトンは、自身の栄養にしているように見えます。「twistしたもの」のエネルギーに、物販店づくりのヒントがありそうです。
さて、最後に。(今回は、長文で、すみません。。。)
2月号は、ルイ・ヴィトンだけじゃないんです。
最新の物販店をぎっしり詰め込みました。
建築家の長坂常さん(スキーマ建築計画)がデザインした「タケオキクチ 渋谷明治通り本店」「パパブブレ 大丸東京店」「トゥデイズ スペシャル 自由が丘」を掲載し、次々と人気店をデザインする長坂さんに設計論を語ってもらいました。
目玉特集は、22店舗が登場する物販店特集。物販店の設計でポイントとなるオリジナル什器の図面資料集も掲載しています。
物販店特集には、グエナエル・ニコラさん設計の高級コスメセレクトショップ「コスメーム」も登場します。
そうです、つまり2月号は、「物販店デザインの教科書」なんです。
最新の物販店を事例にして、デザイン戦略から什器のディテールまでを網羅的に学べる「物販店デザインの教科書」です。
(ふぅ・・・、この結論をみなさんにお伝えしたくて、今日はずいぶんと多くの文字数を費やしてしましました。すみません・・・。)
1月号の内容は、「カフェ設計の教科書」でした。
2月号は、「物販店設計の教科書」です。
さらに、まだ発売前ですが先走って言ってしまうと、ただいま制作中の3月号は、「オフィス設計の教科書」になる予定です。
物販店に特化した2月号。
もし書店で在庫切れの場合は、弊社ウェブサイトでも目次や掲載物件の概要をチェックできます。
どうぞご活用ください。
〈塩田〉
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新作/ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店
タケオキクチ 渋谷明治通り本店
パパブブレ 大丸東京店
業種特集/専門店のデザイン
/鉄板焼き&焼き肉店
2013年2月28日発売
¥2,040
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