関東ではようやく梅雨が明けるなど、暑い日々が続いていますが、夏休みの予定は決まりましたでしょうか?
本日発売の『Commercial Space Lighting vol.4』では、ホテルを大特集!ラグジュアリーホテルから旅館、ドミトリースタイルまで、さまざまな業態の宿泊施設の照明計画や特注照明、ファサード・ライティングを紹介しています。ホテルの開業を企画されていらっしゃる方、リニューアルを手掛けられる方におすすめの一冊です。また、これから旅行の宿泊先を探される方には、ライティングという角度からデザインを考察する上で、きっとお役に立てることでしょう。

誌面を少しだけご紹介しますね。


「Mojo Nomad Central」(設計/ALT-254 照明計画/LIGHTLINKS 撮影/Kevin Mak)


「Mojo Nomad Central」は、香港・上環のライフスタイルホテル。周辺には、話題のレストランやカフェ、バーなどが次々とオープンし、建築系やデザイン系のオフィス、ギャラリーなども点在。クリエイティブな人々が多く集まり、注目を集める街にあります。1、2階メキシカンレストラン「Te Quiero Mucho(テ キーロ ムーチョ)」のレセプションカウンターはフロントの機能を兼ねており、壁壁や天井にはLEDネオンライトやネオンサインが散りばめられました。ポップでジョイフルな雰囲気を表現すると共に、ペンダントライトで心地良い空間を演出しています。


「PIECE HOSTEL SANJO EAST」(設計/HIGHSPOT DESIGN 照明計画/L.GROW 撮影/繁田 諭)


「PIECE HOSTEL SANJO EAST」は、さまざまな場所に足を運んで貪欲に観光を楽しむアクティブトラベラーがターゲット。共用部は、地下にカフェ、屋上にガーデンテラスを設けるなど、「コミュニケーションスペース」と定義して充実させました。その一方で、多様な旅行スタイルに応えるべく、さまざまな客室を用意。旅先や共用部での滞在を重視するターゲットの性格を踏まえて広さや設えを実質本位とし、ライティングは最小限の照明器具で計画されました。セミダブルサイズのドミトリーベッドで構成した個室ツインルームでは、下段用の照明器具を上段の下部に埋め込んでいます。


(設計/橋本夕紀夫デザインスタジオ 照明計画/ワークテクト)


「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」は、沖縄の風景を体感することをコンセプトにしたリゾートホテルです。内外をシームレスにつなぐロビーラウンジでは、木のフレームで組み立てた大小さまざまなキューブ格子をランダムに積み上げ、差し込む光と影に個性を持たせています。このキューブは、照明器具になったり、人を囲むような東屋になったりと、フラクタル的な展開を見せます。また、自然に合わせて明るさが変わっていくライティングが施されており、全体的な調光のバランスで時間の流れを感じさせることが意図されました。


(設計/サポーズデザインオフィス 特注照明制作/セブンスコード 撮影/長谷川健太)


「葵HOTEL KYOTOプレミアム」は、京都・木屋町通りと鴨川に挟まれた築47年の元集合住宅を、耐震補強しつつリノベーション。「シティービュー」と「リバービュー」の二つの客室で構成しています。それぞれの客室の中央には、特殊セメントモルタルでデスクやベッドを一体的に制作した家具を設置。ヘッドボードから立ち上がるベッドサイドライトは、首の主軸を回転させることで、デスクライトとしても機能します。パーツは、客室の色味によって仕上げを変えており、グレーの色味の客室はコッパーを、ベージュの色味の客室は真鍮を採用。空間にふさわしい仕上げが施されました。


(設計/ISA Architects 照明計画・特注照明制作/iris 撮影/写真提供/ニセコリアルエステート)


北海道・ニセコの温泉付きヴィラが建ち並ぶ「PANORAMA NISEKO」のダイニングルームのペンダントライトは、照明計画および意匠照明のデザイン、制作を手掛けるirisの中屋恵美さんとニーウン・ペツ ガラス美術研究所のクスモトスケヒロさんが協働制作。ニセコの透明感や空気感の表現が試みられました。中屋さんは「クスモトさんに試作してもらうまでは、実際の風合いはわかりません。細かい表情の付け方はクスモトさんに委ねた方が、自分では思いつかないアプローチにたどり着けます」と語ります。取材を通して、互いに創作の可能性を高め合っていく様子を伺えました。


「glow ⇄ grow」(D/TAKT PROJECT 撮影/太田拓実)


今年の4月に開催されたエウロルーチェミラノデザインウィークをレポート。吉泉聡が代表を務めるデザインスタジオ「TAKT PROJECT」の自主研究プロジェクト「glow ⇄ grow」は、「光る事で成長し、成長する事で光が変わる」をコンセプトに、LEDの光によって硬化する特殊樹脂を吊り、プログラミングされたライトコントロールでいくつもの姿形をつくり出します。会場では、つららをほうふつとさせる樹脂を介した光が、コーブ状の天井を持つ空間に柔らかく広がっていました。

他にも、アートとライティングのあり方について紹介するコラムなど、ホテル・デザインには欠かせない考察で充実しています。効果的なライティングは、空間の表情を大きく変え、ワンランク上の体験を提供します。是非、書店にてご高覧いただけますと幸いです。また、オンラインショップでのご購入もお待ちしております!


Commercial Space Lighting vol.4

・ホテルのデザインを昇華する照明計画
・コンセプトを表現するホテルの特注照明
・街並みに問いかけるホテル・ファサードライティング
・空間デザイナーのイメージを具現化する特注照明メーカー
・ライティングの今が見えるイベント・レポート
・光を交えたインスタレーション
・光にまつわるコラム

表紙:青普麗江白沙文化行館
2019年7月31日発売
¥3,500+税

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