こんにちは。
毎月のご愛読、ありがとうございます。

おかげ様で大変好評をいただいております最新号「月刊 商店建築 2014年9月号」。ありがとうございます。
一冊まるごとカフェ特集です!
さらに、物販店とカフェが融合した「ライフスタイルストア」特集も併載。
というわけで、2014年を象徴する凝縮された1冊になりました。品切れになる前に、早めのご入手を。

 
 
さて本日は、ニューヨークからのカフェレポートです。
最新号「月刊 商店建築 9月号」のカフェ特集の中で、「街角を楽しくするカフェ&コーヒースタンド」という特別企画を組みました。「特集 in 特集」といった構成になっています。
その特別企画の中に、世界各都市からのカフェに関する写真レポートをお載せしました。
題して、「“世界の” 街角を楽しくするカフェ&コーヒースタンド」。
カフェの設計に関するヒント満載です。
  
ニューヨーク在住のジャーナリスト・春日淑子さんと、同じくニューヨーク在住の写真家・阿部寛さんに、ニューヨークの街角を楽しく演出しているカフェをレポートしていただきました。( 9月号 P.119)
誌面には、紙幅の都合でダイジェスト版をお載せしておりますので、本日は、皆さんにノーカット版でお見せします。

 
 
 

-------------------------------------------------------
商店建築2014年9月号「カフェ特集」
フォトレポート from ニューヨーク(ノーカット版)
-------------------------------------------------------

コミュニティ密着型デザイン ~本物志向の新コーヒーカルチャー
 文/春日淑子 写真/阿部寛

ニューヨークではサードウェーブ・コーヒー・カルチャーなるものがじわじわと浸透しつつある。サードウェーブとは「第3の波」だが、第1の波はというとコーヒーが米国庶民に普及した19世紀末。第2の波はスターバックスに代表されるシアトル系グルメコーヒーが全米を制覇した1990年代を指すのだそうだ。当時、薄いアメリカンしか知らなかった人々はエスプレッソベースの重厚なコーヒーと、キャラメル・マッキアート、シナモン・ドルチェ・ラッテなど多彩なデザートコーヒーに魅了された。
第3の波はそこから更に進化を遂げた本物志向のトレンド。豆はシングルオリジン、つまり単一産地の単一品種をミックスせずに用いる。産地により美味しさのピークが違うので、季節によって仕入れを変える。焙煎や水に拘り、バリスタが熟練の職人芸で1杯ずつ丁寧に淹れ、味わいを引き出す。コーヒー、エスプレッソ、エスプレッソ+ミルクと極力絞り込んだメニュー。生産地の環境や労働条件の保護に気を遣い、周辺コミュニティーとの結びつきを大切にする。そういう事こそが本質的味の追求を支えるからだ。
芳醇な1杯の前で人は平等。内と外との境界なく、誰をも迎え入れる空間。時間がゆっくりと流れ、馴染みのバリスタとの和やかな会話が生まれる。そういうことがコーヒーの味を一層引き立てる。店の造りもブランドイメージ確立よりは、近隣に溶け込むことが主眼。コミュニティーに向かって開かれた空間こそ、新しいコーヒー文化の基本アプローチである。〈春日淑子〉
   
   
   
   

1)アルファベット地区「Ninth Street Espresso(ナインス・ストリート・エスプレッソ)」
ストイックに本物を極め、コミュニティーを束ねる


アルファベット地区「Ninth Street Espresso(ナインス・ストリート・エスプレッソ)」

コミュニティガーデンの緑を映すファサードに並べたオーバーサイズの縁台風木製ベンチ。若手クリエイターが多い住宅地の一角に2001年に出来たこのカフェには早朝から普段着姿の常連が屯する。店内でコンピュータを広げる人々、外に座っておしゃべりに興ずる人々。サードウェーブという言葉さえなかった時代から、シリアスに味わいだけを追求してきたこの店は、本物を解する隣人達にひっそりと、しかし、力強く支えられてきた。
  
Ninth Street Espresso
700 East 9th Street, NYC 10009
------------------------------------------------------
 
 

2)バワリー地区「Think Coffee(シンク・コーヒー)」
花のあるテラスでリラクセーションを演出


バワリー地区「Think Coffee(シンク・コーヒー)」

「環境や社会に責任を持ち、単一農場からの厳選した豆を使って、注文がある毎に1カップずつ丁寧に入れたコーヒーを提供すること」をモットーに掲げた新コーヒーチェーン。現在4店舗あるが、どれも周辺環境に合わせた独自のデザイン。ここ数年にわかに開けた振興商業地区にあるこのロケーションでは広い舗道を利用し、季節の花々で囲んだテラスを設けている。NYUや付近のブティックの人々、昔からの住民が集う。手づくりサンドやペストリーなど軽食も充実。

Think Coffee
1 Bleecker Street, NYC. 10022
------------------------------------------------------
 
 
 

3)ノーホー地区「Gasoline Alley Coffee(ガソリン・アリー・コーヒー)」
ストリートと一体化したインテリア


ノーホー地区「Gasoline Alley Coffee(ガソリン・アリー・コーヒー)」

企業、店舗、住居が集まる混合地帯。ラファイアット通りとマルベリー通りに挟まれた小さな店。表と裏両方に広いドアと窓を設け、光と風が店内を通り抜けるよう設計してある。冷暖房もなく、夏は熱風が、冬は北風が吹き抜ける。文字通り店が通りの一部、通りが店の一部だ。当初裏道への近道としてコーヒーも買わずに通り抜ける人々も多かったが、その彼らも今では熟練バリスタが淹れる本格コーヒーの虜。赤いベンチが行き交う人々を憩いに誘う。

Gasoline Alley Coffee
325 Lafayette Street, NYC. 10012
------------------------------------------------------
 
 
 

4)ミートパッキング地区「Le Pain Quotidien(ル・ペン・クォティディエン・コーヒースタンド)」
広場の真っ只中で多彩なコーヒーニーズを満たす


ミートパッキング地区「Le Pain Quotidien(ル・ペン・クォティディエン・コーヒースタンド)」

ショッピング/観光スポットとして人気のミートマーケットとハイラインへの入り口。交差点の中州につくられた緑のパブリックスペースにベーカリー・カフェ、ル・ペン・クォティディエンが出すコーヒースタンドがある。早朝はグーグルなど周辺企業の社員が主体。オーガニックコーヒーとペストリーをピックアップして職場へと急ぐ。昼間は光降り注ぐ広場に座って一休みするトラベラー達の姿が目立ち、コスモポリタンな街の気分を盛り上げている。

Le Pain Quotidien
9th Avenue & 14th Street, NYC.
------------------------------------------------------
 
 
 

5) イーストビレッジ地区「The Bean(ザ・ビーン)」
カウンターカルチャーの伝統を主張するミュラル


イーストビレッジ地区「The Bean(ザ・ビーン)」

カウンターカルチャーの拠点、イーストビレッジで2003年から営業しているザ・ビーン。WiFiがあり、NYUの学生達、アーティストやライターにリビングルームのように利用されている。スタッフも付近の若者を選び、BGM、ビーガンも含むメニューなど、全てにコミュニティ・フレンドリーを貫いている。建物全体をミュラルで飾り、ベンチを配した外観にも、地域に伝わるストリートアートの伝統を継承し、地域住民と共存共栄を図ろうとする気概が伺える。

The Bean
147 1st Avenue
------------------------------------------------------
 
 
 
 
 


 
 
ニューヨークからのカフェレポート、いかがでしたか。
皆さんも、ニューヨークに行く際は、これらのカフェへ訪れて、その雰囲気と味をぜひ体感してみてください。きっとあなたの店づくりのお仕事に深みが出ます。
  
  
日本で唯一、店舗デザインの最新事例とセオリーが学べる月刊誌「月刊 商店建築」。
最新号は9月号。
こちらでも、目次のチェックやご購入ができます。

本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



RSS2.0