ずいぶんと寒くなり、そろそろ暖房器具が活躍しはじめるころですね。
商業施設においては快適な温度を保つという実用面だけでなく、暖かさや心地良さを演出するという側面からも暖房器具は重要なアイテムです。特に暖かさの演出では薪ストーブや暖炉が大きな役割を担ってきましたが、近年、薪やガスに代わる「バイオエタノール」を燃料とする暖房器具が登場しました。



バイオエタノールは生物由来のバイオマスを発酵させ、蒸留して生産されるエタノールで、再生可能な自然エネルギーであることや燃焼によって大気中の二酸化炭素量を増やさないことから新たなエネルギー源として、その将来性を期待されています。このバイオエタノールを燃料にした暖炉がバイオエタノール暖炉です。

2002年にTHE Fire Company(オーストラリア)社によって立ち上げられたバイオエタノール暖炉ブランド『ecosmart fire』(エコスマートファイヤー)は世界で初めてバイオエタノール暖炉を開発した会社で、同社製品は本国のオーストラリアを始め世界各国に普及しつつあります。


ステンレスやガラスを用いたシンプルなデザインの暖炉


バイオエタノールは燃焼が安定しており、燃焼時には二酸化炭素と水分しか発生せず、有害物質や煙は発生しません。煙突などの排煙設備が不要で、マンションの一室や既存の建物に導入することもできます。また、必ずしも据えつける必要がないため、建物ないで移動したり、屋外で使用できるのも魅力の一つです。


屋外でも使用できるため、テラス席などでも活躍しそうです


また、建築、商業施設向けにバーナーのユニットも販売されています。エタノール暖炉を建築に埋め込むことができるため、より空間やインテリアに溶け込むような暖炉をデザインできます。

日本での実例も徐々に増えており、小誌10月号には「中之島バンクス」のフレンチレストラン「サン=ルイ アミューズ」では、同社のバーナーが壁面に埋め込まれた事例を掲載しています。


「サン=ルイ アミューズ」では陶器タイル貼りの壁面に埋め込み式のXL700が導入されています。


暖房効果は体感すると、スマートなイメージから想像できないほど。最も小型のものでも2.5kWの電気ヒーターと同量の熱を発します。

燃料のバイオエタノールについては、欧米やオーストラリアでは新たな燃料として徐々に市場に浸透しつつあるそうですが、日本では製造が許可されていないため、ブラジルから原料を輸入し、日本の化学薬品メーカーで精製した変性エタノールがecosmart fire専用燃料として販売されています。
日本でも廃材や海藻、うどんのゆで汁などからバイオエタノールを取り出す研究が進んでいるとのこと。今後の展開に期待したいですね。
〈川上〉

製品に関する問い合わせ先
メルクマール
TEL/03-5859-5663
URL/http://www.ecosmartfire.com

*商店建築のオンライン製品情報サイト「PRODUCT INFORMATION」では毎月、店舗向けの建材や設備を紹介しています。是非ご覧ください。http://pi.shotenkenchiku.com



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