建築文化シナジー『建築プロフェッションの解法』
高橋正明 著
発行/彰国社
2100円+税

若手建築家らへのインタビュー集。図らずも登場者の多くは、建築家としての在り方について異口同音に次の四つのことを語っている。「良い/悪い」の趣味的判断を超えて、社会で共有される分かりやすいメッセージを語るべき。デザインするための枠組みや状況自体をデザインすべき。アトリエ事務所のボスの作家性や主観性をベースにしたデザインを避け、プロセスに注目し、事務所全体で強いチームになるべき。フラットな人間関係で設計すべき。
これらは、とても繊細で思慮深くナイーブなスタンスと言える。センセイ然とした旧世代の建築家像とは対照的だ。彼らこそ、永田宏和氏の言及する「謙虚だけどセンスのある建築」を生み出すのではないか。なお面白いことに、海外での実務経験の多い豊田啓介氏と迫慶一郎氏だけは、必ずしもそのナイーブさを肯定していない。
新世代の日本人建築家の特性を概観できる充実した一冊。



RSS2.0