デザイナーズクリニック&オフィス/今月の書籍・増刊号
2012/06/22 商店建築からのお知らせ
今月は弊社刊行の書籍の中でもベストセラーのうちの一つである「クリニック&オフィス」を紹介したいと思います。近年の傾向として飲食店やブティックだけではなく、クリニックやオフィスなどの“働く場”においても戦略的なデザインを取り込むことが増えているのはご存知でしょう。そのような戦略的事例をまとめているのがこの一冊になります。

スライスした丸太、ゆるやかな曲線などを利用して温かみを持たせた診察エリア
こちらの写真は神奈川県逗子駅前にあります「鈴木眼科医院」になります。こちらの医院では医療現場の不安を解消する方法として「オープンクリニック」という考え方に行き着きました。患者としては何をすればいいのか、いつまで続くかわからない不安な待ち時間があり、医師には待合に患者が何人いるのか、他のスタッフがどのように動いているのかわからないという不安があったそうです。
オープンということは文字通り待合室、検査室、待合室の区切りをなくしたことを言います。医療スタッフの行う診察行為や各種検査を全てオープンにした新しい医院の形態ということができます。このようにしたことで患者の待ち時間はレクチャーの時間になり、診察現場の可視化によって不安やストレスの解消に役立っているのです。
またできるだけ無機質なマテリアルを避け、優しい色合いのレザーソファやタイルカーペットなど温かく優しいイメージのアイテムで統一することによって「心地良い空気に包まれた空間」を提供することができています。

照明スタンドには過去に手掛けた物件の写真を貼り、独特なカバーを演出している。
こちらは兵庫県を中心に展開している不動産オフィス「西洋建物 西宮支店」になります。一見すると何の写真かわからない方が多いかと思いますが、不動産を選ぶ際に図面資料などを見させていただくカウンターの写真です。カウンターをカーテンで囲い、裏に物件情報の収納を隠すことで収納力と落ち着いた空間を実現しました。ホテルのフロントのようなゆとりのある空間にすることで、ゆったりとした気持ちで話ができるようにしています。またこちらでは二部屋個室を用意しています、そこには壁面いっぱいにフローリングサンプルが貼られており、直にその質感を確かめながら選ぶこともできます。
本誌を読んでいただかなければ見ることができないのですが、店舗のファサードには社名、HPアドレス、航空写真のみを使い、興味のある人だけに入ってもらえるような工夫を施しています。冷やかしのお客さんが来ないようにするためということ意味もあるのですが、店舗ブランディングの方向性強く感じ取ることができます。
医療現場においてもオフィスにおいてもそのニーズは年々多様化しています。近年のIT技術の発達、クラウドの浸透などによって特にオフィスではこの数年間に固定席からフリーアドレス、フリーアドレスからノマドへと最先端をいく人間のワークスタイルはどんどん変化しています。
時代のニーズ、利用者のニーズがどんどん変わっていく中でこの次はどのようなものが求められているのか、どのようなオフィスやクリニックがこれからも生き残っていくのか、そのような先を見据えたデザインを考えるのに適した一冊になっております。
〈主濱〉
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