付近の様子。右奥が現場ビル。視認性が良い


店舗の施工現場に潜入して、その施工プロセスをレポートするウェブ連載。第一弾のビジネスホテル編につづき、第二弾となる今回の舞台は、品川で工事がスタートした飲食店。

7フロアに3業態という大規模な出店だ。オーナーは、とある外食上場企業。
今回の出店地は、品川駅港南口を出て徒歩2、3分の好立地。付近にはソニー、コクヨ、豊田通商などの大手企業をはじめとして多くのオフィスが立ち並ぶ。夕方から夜にかけては、駅に向かうサラリーマンが多く歩いている。飲み会の需要がありそうだ。

出店するフロアは、そんな立地の8階建て新築ビルの2〜8階だ。3業態の内訳は、2、3階が郷土料理専門店、4、5階がろばた焼き、6〜8階が居酒屋業態。
内装設計を手掛けるのは、「前田太郎建築設計事務所・ベイリーフ」。前田さん率いるベイリーフは、これまで高級フレンチ、和食、カジュアルダイニング、ビュッフェなど、多様な業態の飲食店を設計してきた。


メーン厨房のあるフロア。コンクリートブロックで囲まれた部分は厨房。右側で話し合っているのは、ベイリーフの佐藤さんと現場監督の井戸田さん


パントリー、トイレ、メーン厨房となる部分が防水処理されている

早速、現場を訪れてみると、ベイリーフの前田太郎さんや佐藤匠さん、そして施工会社のスタッフの方々が図面を囲んで打ち合わせをしている。実施図面を見ながら、照明器具の種類や、その電気系統をどう確保するかなど、細かい懸案事項の確認を行なっているようだ。
忙しい合間を縫って佐藤さんに現場を案内していただいた。
工事は1月5日からスタートしており、2月19日の引渡しを目指す。この日は、コンクリートブロックの立ち上げなどの防水工事の日であった。作業が終わったばかりだそうで、まだ現場にはシンナーのような匂いが漂っている。何箇所かの墨出しも済んでおり、掘りごたつの位置などが床面に描かれていた。


パントリー区画の一部に空いた開口

おっ、床面に長方形の穴が空いていて、下のフロアが見える。これは何だろう。
「それは、ダムウェーターのための開口ですよ」と佐藤さん。「2、4、8階にメーン厨房を設け、それ以外のフロアにはパントリーを設けます。そしてダムウェーターでそれぞれの店内をつなぎますので、全部で3機のダムウェーターを設置します。今回は新築ビルですから、ダムウェーターの開口位置も事前に建築設計者の方に伝えた上で構造計算をしてもらっています」


コンクリートブロックの内側はパントリー。メーン厨房ほどの大掛かりな処理はされない

3店舗もあると設備工事に手間がかかりそうだが、スケジュールはどうなっているのだろうか。「7フロアを同時に進めていきます。それでも最初の10日から2週間くらいは設備工事に使います。その後にようやく軽量鉄骨を組めるようになるわけです」(佐藤さん)
こうして何も無い状態で見るとずいぶん広く感じるなと思いながら空間を眺めていると、佐藤さんが「厨房やパントリーの内部は、床下に配管が通りますから、今より30cmくらい高い位置が床面になります。客席側は、掘りごたつフロアの場合は同じく30cmくらい、イス席のフロアならその半分くらいを見込みます」と教えてくれた。


空調の吹き出し口が設置されている


図面を囲んで懸案事項を綿密に確認

内装工事は2社が担当しており、3店舗それぞれに現場監督が配置されている。2、3階の監督は大信工芸の町田さん、4、5階はタジマ創研の井戸田さん、6〜8階は大信工芸の斎藤さん。各階で3人の監督さんにご挨拶。

さて、この3店舗のオープンは3月を予定している。ということは、歓迎会などの多い春の飲み会シーズンに間に合いそうだ。これから徐々にどんな店舗が姿を現すのか楽しみだ。

http://www.bayleaf-design.com



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