ロビーの一角に設けられたミーティングコーナー


御茶ノ水のビジネスホテル「お茶の水イン」の改装工事をレポートしてきたこのウェブ連載。
いよいよ工事が完了した。

工事はなかなか大変であった。1基のエレベーターを、お客さんとバッティングしないような時間に使い、時には階段も使いながら家具を100室以上ある客室へ運び込んだ。1階ロビーでは、営業を続けながら、小さなスペースを駆使して全面改装した。それでも、設計者の大塚孝博さんの予定通り、ほぼ2カ月強で工事を完了した。


リニューアルの甲斐あって、工事前と比較すると、まったく新しい空間に生まれ変わった。
1階ロビーでは、明るい色彩と柔らかい間接照明で空間の広がりを感じさせるようにしている。天井には掘り込みを設け、間接照明を当てた。ミーティングコーナーやセルフコーヒーカウンターも新設された。
家具は、ボリューム感のあるものを排し、床面には極力ものを置かず、床面を多く見せ、広さを感じさせている。
エントランスには風除室も新設された。
前後の状態と改めて比較できるよう、ほぼ同じアングルから撮った改装前後の写真を並べてみよう。
もちろん宿泊室も、前回と前々回に写真を掲載したとおり、大きくイメージが一新されている。


今後、お茶の水インの客足や客層がどう変化するのか注目したい。


チェックインカウンター


エントランス付近から1階ロビーを見る。奥にはコーヒーカウンター


上の写真とほぼ同じアングルから撮ったリニューアル前の状態


掘り込み天井。天井面の一部にLED照明が使われている


セルフコーヒーカウンター。奥はミーティングコーナー


上の写真と近いアングルから撮ったリニューアル前の様子

近年、企業の経費削減で日本のビジネスパーソンの出張回数が減り、あるいは、若者の一人暮らしの部屋がリーズナブルでデザイン性の高い家具によってオシャレになり「出張と言えど、ホテルに泊まるのなら、自宅よりオシャレでなければ意味がない」と考える若手ビジネスパーソンが増えているようだ。また、ビジネスウーマンの出張も増え、ビジネスホテルにも清潔感や快適さが求められている。
そうした動きの中で、ビジネスホテルは客の争奪戦となり、これからも全国でビジネスホテルのリニューアルが相次ぐだろう。このささやかなレポートが、少しでもそうしたリニューアルの参考になれば幸いである。


今後も、業種を変えて、施工現場のレポートシリーズを続けていきたい。


支配人の服部さん、ホテルスタッフの方々、施工会社の方々、そして設計者の大塚孝博さんのご厚意で、忙しい施工中の現場にちょくちょくお邪魔させていただくことができた。どうもありがとうございました。


セルフコーナーカウンターに置かれたコーヒーマシン


新設された風除室


風除室内の光壁。どことなく和風の柄になっている


関連タグ:「お茶の水イン」改装プロジェクト 


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