月刊 商店建築
   
 

特別インタビュー インゴ・マウラー
独自の視点と発想の人と言えるだろう。
世界のクリエーターに多くのファンを持つ照明デザイナー、インゴ・マウラーさんに今の照明の現状について、問い掛けてみた。

 

──古来より人間にとって、“明かり”は重要なものだったと思います。現代における照明の役割についてどのようにお考えですか?あるいは将来、照明でどのようなことが可能になると思いますか。光は、私たちの健康においても心理的にも、とても強い影響力を持っています。それは昔も今も変わらないのではないでしょうか。

今日では、照明は私たちにとって生活の中にあって当たり前、しかも指先ひとつで自由自在に操作できるものです。ほとんどの人のベッドサイドの手の届く範囲に照明スイッチがありますよね。ちなみに、私の作った「ドンキホーテ」や「ルーチェリーノ」は、どこでもちょっと触れるだけで、スイッチのオン・オフができる──そんな遊び心のある楽しい仕掛けになっています。しかし、いつでもどこでも自由に明かりを操れるおかげで、かえって私たちは照明についての意識をどこかに置き去りにしてしまったのかもしれません。

電気がまだ一般的でなかった時代、照明はとても高価で、ごく限られた富裕層が特別な場合に──祝い事や宗教上の儀式、あるいは警備などで使っていました。だから自ずと照明の持つ神秘性や精神性が、現在よりも明確だったのではないでしょうか。


聞き手/LIGHTING+
翻訳/若井浩子

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